用語解説/情勢調査で使われる「やや先行」「横一線」って何?【衆院選2024】
候補者名の並び順も大事
情勢調査文学では、候補者名の並び順も情勢を探る大事な要素になります。 ずばり、候補者名は先に書かれている方が優勢です。 「A氏、B氏がやや先行」と書かれている場合は、基本的にA氏の方が優勢となります。 同様に、「A氏、B氏、C氏が優勢」の場合は、A氏>B氏>C氏の順に優勢です。 ただし、差が1ポイント以内の大接戦のときは届出順に表記されることもあるそうです。 その他にも、最後は「有権者の○割が態度未定者」などとしめくくり、できるだけ情勢調査の報道内容が投票行動に影響しないようにするという工夫も見られます。
なぜこんなややこしいことになるのか
こうした選挙報道は数字調査などを元にしているにも関わらず、わざとあいまいな表現を使っており、「情勢調査文学」などと呼ばれることも。 なぜ「情勢調査文学」ができたかというと、公職選挙法では「人気投票の公表」が禁止されているからです。 まずは条文を読んでみましょう。 (人気投票の公表の禁止) 第百三十八条の三 何人も、選挙に関し、公職に就くべき者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数、参議院比例代表選出議員の選挙にあつては政党その他の政治団体に係る公職に就くべき者又はその数若しくは公職に就くべき順位)を予想する人気投票の経過又は結果を公表してはならない。 選挙の結果を予想する人気投票の経過や結果を公表してはいけません。選挙でどの候補者に投票するかを調べた情勢調査の結果をそのまま公表すると、この箇所に抵触する可能性があります。 情勢調査文学は、それでも報道をする方法はないかと模索され出来上がった抜け道なのです。
まとめ
選挙報道の独特な情勢調査用語について解説しました。 公職選挙法にある「人気投票の公表の禁止」に抵触するおそれがあるため、各社は選挙報道の際に具体的な「何ポイント差で優勢」といった報道を行いません。 そのかわりに出てきた表現が、やや先行・横一線などの用語です。これらの表現は各社でほぼ共通し、候補者同士に何ポイント差があるのかを暗黙の了解で匂わせているのです。 情勢調査用語を覚えておくと、これからの選挙報道をより深く理解できるでしょう。