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長ネギ抱え買い物帰りを大げさにアピール… 偽造身分証はスマホで見せる近頃の「受け子」

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産経新聞

 特殊詐欺事件で、高齢者から現金やキャッシュカードを受け取る役「受け子」が、警察官の職務質問や所持品検査から逃れるための対策を巧妙化させている。買い物袋から長ネギをのぞかせたり、証拠をすぐに消去できるよう被害者に示す偽の身分証を電子データ化したりしている。痕跡を残さずに被害者に近づこうとする詐欺グループの偽装工作に、警察は警戒を強めている。 【図で見る】社会情勢に合わせて変化する詐欺の手口 ■疑惑の身分証  大阪府高槻市で8月、80代女性宅に、大阪府警高槻署員をかたる男から「あなたのキャッシュカードが不正に使われそうになっているので、作り直す必要がある」と電話があった。  その後、白シャツに黒ズボン姿の少女(17)が警察官をかたって女性宅を訪問。不審に思った女性の親族が本当に警察官かと尋ねると、少女はスマートフォンに画像として保存されていた警察官の身分証を提示した。そこには、「警察庁関東管区警察局 刑事課特殊詐欺防犯係」という実在しない部署名が記されていたものの、顔写真は少女本人に間違いなかった。  親族が身分証を撮影すると、少女は逃走。同署はその日のうちに、詐欺未遂容疑で少女を逮捕したが、画像データはすでにスマートフォンから消去されていた。  捜査関係者によると、特殊詐欺グループは、受け子に指示を伝える際、一定の時間がたてば送ったメッセージや写真を自動的に消去できる「テレグラム」などのSNSを使っている。受け子の少女も、こうしたSNSを通して指示役から偽の身分証を受け取っていた可能性がある。 ■初動捜査の強化に対抗  偽の身分証を画像データで持っていた事件は、ほかにも複数確認されている。特殊詐欺グループが受け子に証拠を残させないようにしているのは、警察が被害防止のために初動捜査に力を入れているからだ。  府警では、さまざまな理由をでっちあげて資産状況などを聞き出そうとする不審電話「アポ電」が連続すると、その地域に捜査員を集中的に派遣。入手した現金やキャッシュカードが別の人物に渡る前に受け子を逮捕したり、高齢者宅に向かう途中に捕まえて被害を未然に防いだりしている。  捜査員は、受け子を見逃さないよう、ささいな言動にも目を光らせている。中には、ズボンの裾が擦り切れていることを不審に思って職務質問したところ、受け子と判明し、逮捕につながったこともあった。  偽の身分証は、高齢者をだます道具となる一方、持っているだけで有印公文書偽造容疑などの罪に問われる可能性がある。職務質問を受けた際は言い逃れができないため、逮捕の“決定打”にもなりうる。  すぐに消去できる画像データにしていたのは、こうしたリスクを回避するためとみられる。受け子が現物の身分証を持っていた別の事件では、指示役から「職質(職務質問)が一番リスクになっています。(身分証は)股間や人に触れられない部分に入れて、移動をお願いしています」と注意を促すメッセージまで送られていた。 ■買い物帰りアピール  職務質問を受けないための偽装工作は、ほかにもさまざまな方法がある。府警が5月に逮捕した受け子2人は、買い物袋に野菜やカレーのルーといった食材を入れた上で、わざわざ長ネギが見えるようにして持ち運び、買い物帰りを大げさにアピールしていた。  巧妙な偽装工作は、警察官の目を逃れるだけでなく、高齢者に不審に思われずに接近するのにも好都合のようだ。府警幹部は「警察官をはじめ、どんな立場でも、自宅を訪問してキャッシュカードを受け取ったり、暗証番号を聞いたりすることは絶対にない。自宅に来ても1人で対応せず、警察や家族にすぐに連絡してほしい」と注意を呼びかけている。

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