発達障害の子が「ヒーロー」に! 小学生の「やる気」に火をつけた教師の「すごい教え方」
前編では、授業中とにかく先生の発言を遮ってしゃべりまくる「太郎くん」の事例を紹介した。くり返される不規則発言のせいで、クラスメートも先生も授業に集中できない状態となったが、この問題をどう解決すればいいだろう。発達支援コンサルタントの小嶋悠紀さんは、まず太郎くんを「悪者」として見ることをやめるべきだと言う。彼の意見を聞いてみよう。 【マンガを読む】発達障害の子どもたちのリアル…
大人が太郎くんの「やる気」に気づかねばダメ!
先生「作者は、『金子みすず』さんですね」 太郎「先生、字が変じゃない? 「す」に点々でしょ!? 間違ってるよ」 先生「よく気づいたね、これは昔の字で……」 太郎「昔の字? えっ!? 昔の字って、何、何、何、先生!」 先生「金子みすずさんが生きてた時代の……」 太郎「死んでるの!? いつ死んだの? ねえ先生! いつ死んだの? ねえねえ!」 こんな具合に、授業中に必要のない不規則発言をくり返す太郎くん。この子にどう接していけばいいでしょうか? ゼッタイにやめてほしいのは、太郎くんを「授業を妨害する悪者」として扱うこと。罰として太郎くんを立たせたり、「黙りなさい!」と一喝すれば、少しは静かになるかもしれません。でも、発達障害がある子に対して、大人が、とくに教師がそんなことをしてはいけません。 太郎くんは、実はメチャクチャ「やる気」があるんです。彼の不規則発言は、すべて先生の言葉を受けて発せられたもの。しかも、どの言葉も、教材になっている「露」という詩に関連した話題ばかりですよね。先生の言葉を聞いていなければ、そんな発言はできませんよ。問題があるとすれば、彼のエネルギーが学習にうまく活かされていないことでしょう。 太郎くんのような子がいるとき、彼にだけ目を向けてはいけません。むしろ、あらためてクラス全体に目を向け、集団のなかに彼をどう溶かし込んでいくか……という発想で解決を図る必要があります。 また、太郎くんはADHDで多動傾向があります。エネルギーが有り余って、脳が「動きたい! 話したい!」状態なわけですから、止められません。それならいっそ、大いに動かしてあげればいいのです。 そう考えると、「先生の指示でみんなが動き、そのなかで太郎くんも合法的に動ける」活動的な授業をすればいい……なんてアイデアが浮かんできませんか? では私ならどうするか、一案を提示します。