Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

withコロナで行われた欧州自転車レースの今 主催者、観戦者の感染対策は?

配信

  • この記事についてツイート
  • この記事についてシェア
Cyclist

 ヨーロッパ各地で自転車ロードレースが再開されました。「with コロナ」の状況で、8月29日開幕予定のツール・ド・フランスに向けて、ワールドツアーの選手たちが調整中です。実際に欧州では運営側、観戦側のコロナ対策はどうなっているのか。フランス・ピレネー在住のサイクリスト、スーレ・ユミさんが「Route d’Occitanie 」(ルート・ド・オクシタニー)のクイーンステージ(8月3日)を観戦したリポートで“with コロナで行われるレースの今”をお伝えします。 ツール有力選手がずらり出場  ピレネー山脈と地中海の間を駆け巡るステージレース「Route d’Occitanie 」(ルート・ド・オクシタニー)。UCIヨーロッパツアー(クラス1)カレンダーに含まれるこのレースは、1977年に初めて「ルート・デュ・スッド」として開催され、毎年、ツール・ド・フランスの数週間前に、各チームの有力選手がしのぎを削る人気のレースです。  今年は新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、数々のUCIレースが中止、延期を余儀なくされました。7月半ばから徐々にレースが開催され始め、エガン・ベルナル、クリス・フルーム(ともにチーム イネオス)、ロマン・バルデ(アージェードゥーゼール ラモンディアール)、ティボー・ピノ(エフデジ)といったツール・ド・フランスの有力選手が、ツールを狙うメンバーとともに、コロナの渦中でレース参加し、注目を浴びました。 クイーンステージで感染予防対策に注目  コロナの感染が心配される中でのUCIレース観戦は、主催者、選手、チーム、メディアの感染予防対策が注目されます。私は、クイーンステージとして注目されていた第3ステージスタート地点とゴール地点へ行ってきました。 Route d’Occitanie 2020 の感染予防対策 ・主催者の車両、セキュリティーオートバイクには、フォトグラファー、ジャーナリスト、テレビクルーを一切同乗させない。 ・レース中およびレース終了後は、手洗い、ソーシャルディスタンスを保つ。感染予防対策として、マスクの着用、発熱時の検温などを遵守する。 ・ジャーナリスト、または許可を得て同行する者に以下のことを要求する ①ソーシャルディスタンスを保つこと。密の空間、あるいは十分な間隔を確保できない場所でのマスク着用。これらを感染予防対策として遵守すること。 ②選手に近づくときは、マスク着用の義務。各チームの関係者に近づくときは、マスク着用を推奨する。 ③選手へのインタビューは、それぞれのチーム車両の駐車場所に限り、実施可能。 ④スタート地点、表彰台、公式セレモニー、ゴール地点、特にゴール後の選手控えエリアは厳重に規制する。 係員が細かく除菌ジェル配布 ●スタート地点:サン・ゴーダンス  レース開始の3時間前、既にセキュリティーオートバイが街中を巡回していました。ピレネーの麓、歴史的なコマンジュ地方に位置する街、サン・ゴーダンスで見つけたのは、準備にあたっていた2チームだけ。他のチームは、スタート地点とは別の場所に前泊して当日入りしたようです。  公式ショップが3、4軒出店されていました。観客も例年ほど多くないスタート地点です。セキュリティーガードがマスク着用を促し、数カ所のゲートの横に消毒液が設置されていました。更に、スタートのおよそ90分前になると、係員が観客一人一人の手に消毒液を吹きかけて回ってくれました。  マスクを着用した選手たちが、チームごとに間隔を空けて登場。選手たちのマスク姿を見て、サイクリング界も激動の時代にあることを実感しました。普段のように、選手による出走前のサインはありません。観客が選手へサインを求めることも禁止されています。手短かに、選手とチームの紹介だけが行われました。  マスクの間からわずかにのぞく選手たちの目は、レースの再開を喜んでいるような、温かい印象を受けます。笑いが湧き起こる和やかな雰囲気のチーム紹介が終わっても、選手たちはスタート直前までマスクを外すことはできません。マスクを着けたままで、スタートラインへ並びました。いよいよ山岳ステージのスタートです。 ●ゴール:ベレード峠頂上  サン・ゴーダンスからアスパン峠を越え、ゴール地点となるベレード峠の頂上へ向かいました。私の予想を遥かに上回り、例年とほぼ変わりない観客数です。  頂上では公式ショップの他に、軽食を売るお店、ピレネーの伝統的なケーキの実演販売をしているお店、アコーディオンを弾きながら歌っているグループ、スタート地点より遥かに活気に満ちています。  マスクの着用、選手との十分な距離を促すサインが、ゴール周辺にはいくつもありました。スタート地点でも行われていた手への消毒液の分配も数回にわたって行われました。スピーカーからはいく度となく、新型コロナ渦中であることを忠告するアナウンス、感染予防対策ガイドラインが流れます。  頂上では、各チームの車が一台だけ選手たちのゴールを待ちます。大型バスや他のサポート車は峠の麓で待機するようになっているようです。選手がゴールしたあと向かう待機場所は、セキュリティガードとゲートで守られています。関係者以外は立ち入りできません。  集まった多くの観客は、マスクを着けていましたが、なかには係員に促されてはじめて着用する人、着用を拒否する人もわずかにいたようです。正直、ゴール付近は蜜を避けられないほどに混んでいました。  選手のゴールを待ちながら、今現在、ツールドフランスの感染予防対策として検討されている、山岳ステージのことを考えていました。「この規模の大会でこれだけ蜜になることを考えると、ツールドフランスともなると、どれほど混雑するものか?」と不安が募りました。  第3ステージの163.5km 山岳ステージ。最初にゴールを切ったのはチーム・イネオスのエガン・ベルナルでした。余力がうかがえる清々しいゴールイン。そのまま待機していたチーム車へと直行しました。立ち入り禁止のゲートの向こうから、熱い声援を送る観客たち。サービス精神を忘れず、ローラー台へ向かいクールダウンのスピンを始めました。  その間に、他の選手たちもゴールしてきました。チーム車両の駐車場所に限りインタビューを許されていたメディアの人たちが、一気に選手たちのもとへ駆けつけてきます。その時、私の目の前で、チーム車両へ近づくことを厳しく諌められたTVクルー。チーム関係者の注意は徹底していました。その厳しい姿勢に、胸が熱くなる思いでした。と同時に観客も可能な限り感染防止規制を厳守して観戦することが、いま私たちにできる、選手たちへ、そしてサイクリング界への最大の貢献ではないかと思いました  既に開催されているUCIレースの経過を参考にして、ツール・ド・フランスの感染予防対策が徐々に出来上がってきています。これまでに開催されたレースより、更に体制を強化して行われるようです。  まだまだ、新型コロナの脅威が残るなかでのこれからのレース。観戦するわたしたちも、細心の注意を払いながら感染予防対策に努め、今後のレースを見守っていきたいものです。 Soulé Yumi(スーレ・ユミ) フランス在住。結婚を機にアメリカのシアトルに移住。ロードレース、クリテリウムをしていた夫の影響で、ロードバイクを始める。シアトルでサイクリングクラブを発足。数多くのサイクリングイベントを企画運営、コーディネート。夫の故郷であるフランスピレネー地方で2007年、サイクリングツアー会社VéloTopo を設立。ピレネー山脈トゥールマレ峠の麓に拠点をおき、フランス、スペイン、イタリア、スイスの山岳地帯を中心にカスタムサイクリングツアーを企画提供。その傍ら、本格的に山岳アマチュアレースに出場。近年は、ルションバイヨン(320km/6000m) 女性部門1位で完走。2019年ノールカップタリファ(7400km/80.000m)大会初のペア完走タイトルを獲得。

【関連記事】

最終更新:
Cyclist