「作詞」と「小説執筆」の違いは? 尾崎世界観、小説執筆で“難しさ”を感じるポイントは?
お笑いコンビ・麒麟の川島明がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「SUBARU Wonderful Journey 土曜日のエウレカ」。「あなたの心を、ここではないどこかへ」をテーマに、ゲストの「ココロが動く(=エウレカ)思い入れのある場所」へと案内していきます。 5月14日(土)放送のお客様は、4人組ロックバンド・クリープハイプのボーカル、ギターを担当し、小説家やMCとしても活動する尾崎世界観さん。ここでは、作詞と小説執筆について語りました。
1984年生まれ、東京都出身の尾崎さん。高校在学中の2001年にクリープハイプを結成。2012年にアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビューを果たします。以降、数多くの名曲をリリースし、若者を中心に人気を集めています。 尾崎さんは小説家としても活動しており、2021年1月に出版された小説「母影」(新潮社)は、「第164回 芥川賞」の候補作に選出されました。現在は、ドキュメンタリーバラエティ番組「セブンルール」(フジテレビ系)にレギュラー出演しているほか、ラジオパーソナリティやナレーターなどマルチに活躍しています。
◆“作詞”と“小説執筆”の違いは?
川島:作詞と小説って、やっぱり全然違うんですか? 尾崎:違いますね。歌詞は、なんとなくメロディに吸い込まれていくので、(言葉が)勝手にハマっていくというか。 川島:へええ! 尾崎:僕は曲から作るんですけど、曲に歌詞が吸い込まれていくというか、“格納”されていくイメージです。 川島:カッコいい。 尾崎:(笑)。小説はそれがないんですよ。 川島:逆に言えば自由ではある。 尾崎:その自由さに最初はけっこうやられましたね。 川島:いらん言葉を足してしまうし、説明不足になってしまうところもあるでしょうしね。 尾崎:これまでは、いかに説明しないかでやってきたので、“説明をしなければいけない作業”が苦しかったですね。 川島:そっか。歌詞だと、受け手側のテンションや世界がありますもんね。小説はちゃんと説明しきって、「どうですか?」って言わないといけない。なかなかに難産だったということですか? 尾崎:そうですね。いまだに小説は全然書けないですよ。ただ、小説をずっと書いていると、音楽にすごくいい作用があるというか、作詞がしやすくなりますね。 川島:なるほど。じゃあ、けっこういい感じのバランス感覚なんですね? 尾崎:はい。できないことをやるのが大事だし、自分はもともとそれが好きなんだと思いましたね。音楽では、たぶんできているんですけど、他にもいろいろやりたくなるのは、子どもの頃から“できないこと”に慣れ過ぎているからだと思うんです。例えば、図工の時間などはうまく作れなかったですし。だからこそ、うまくできない環境を求めてしまうんだと思います。