鹿島アントラーズ 取材カメラマンが狙う!Jリーグ2021注目選手(3)
J2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。 【動画】20年9月末にインタビューを受けた永戸 勝也 選手
◎鹿島アントラーズ
2020年は、ギャップが大きすぎるシーズンだった。「今年は降格がなくなってよかったよね」という言葉が現場で飛び交うほどの低迷から始まったが、神様でもあるジーコTDがコロナ禍でありながら再来日を果たすとチームは調子を上げ、終わってみれば5位という成績だった。シーズン後には「降格がなくてよかった」は、ザーゴ監督を途中で解任しなくてよかった、という意味合いに変わり、2021年は初めから強い鹿島が帰ってくる、とサポーターは余裕を取り戻していた。 ところが、躍進を支えたエヴェラウドが中国や中東に移籍するのではないか、という噂が流れると、話は変わってきた。1年前にセルジーニョが中国に移籍したことや、同時期に柏レイソルのオルンガがカタールに移籍するらしい、という情報が出てきたことも相まって、どっしりと構えて新シーズンを待っていたはずの鹿島サポーターはそわそわさせられた。 結局、移籍ほぼ確実、という報道まで出たものの、エヴェラウドは残留。これで新たなシーズンは、昨年の続きで戦うことができる。新規入国制限や隔離期間の存在によって各チームの新加入選手の合流が遅れることが予想されているため、同じメンバーで戦える、ということはそれだけでプラスだ。結果が先行して良い雰囲気になっているところに、サントスから加入する期待のディエゴ・ピトゥカが組み込まれれば、優勝に向かって突き進むことになる。
■注目選手(1) GK:沖悠哉
昨シーズン、クォン・スンテ、曽ヶ端準という実力者2人がいながら、回ってきたチャンスをものにした若き守護神に注目だ。 開幕から4連敗というスタートを切った鹿島は、横浜F・マリノスに勝利したものの、湘南ベルマーレ戦でコーナーキックからゴールを奪われて敗れ、続くFC東京戦でもコーナーキックから2失点を喫して引き分けた。ここでザーゴ監督は空気を変えるためにゴールキーパーをクォンから曽ヶ端にスイッチ。その控えに沖を入れた。 大分トリニータとのその試合は鹿島が勝利したものの、ミドルシュートで先制されたことで沖にチャンスが回ってきた。 そしてサガン鳥栖戦、鹿島は2-0で完封勝利を収め。沖はチャンスを見事に掴んだ。 結果が出ない時はゴールキーパーを変えてみる、ということはよくあるが、3人目まで回ってくることは滅多にない。しかも、強豪である鹿島だ。通常のシーズンであれば起こりえない。 2021年、ゴールキーパーは一度定着してしまえばなかなか入れ替わることのないポジションだが、クォン・スンテは鹿島に残った。1年目で試合にも出場した山田大樹もいる、ルーキーの早川友基もいる。実力者1人と若手3人、引退した曽ヶ端がコーチとして競争を促すことは間違いない。熾烈な競争が待っているのは、昨年チャンスが回ってくることを経験した沖自身よくわかっている。ポジションを失わないためには、結果を出し続けなければならない。結果を出し続けることは、常勝アントラーズの継続に繋がることになる。