オフコースのバンドとしての姿勢を作品化した、初のチャート1位獲得アルバム『We are』
OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!』のアーカイブス。今週は小田和正のキャリアのスタートであるバンド、オフコースの作品を取り上げたい。 ※本稿は2018年に掲載
決して“ネクラ”なんかではない
以下はわりと有名な話で、おそらく氏のネタ半分であったとは思うが、なにぶん古い話の蒸し返しである上、すでに両者は和解しているという話もあるので、あえて片方の実名は伏せようと思う。 その昔、テレビ番組の司会者としても有名な某コメディアン氏のオフコース嫌いが話題になったことがある。さだまさしもその対象だったと思うが、確かもともとは氏がパーソナリティーを務めるラジオ番組の“思想のない歌”を紹介するコーナーに端を発していたような覚えがある。同コーナーでは戦前の映画スター、高田浩吉の「白鷺三味線」や昭和初期のボードビリアン、二村定一の「神田小唄」を絶賛しており、その比較対象としてニューミュージックやフォークを挙げて、“最近のニューミュージックは意味ありげなものが多いけど、昔の歌には思想がなかった”というような話だったように思う。そこでオフコースやさだまさしを揶揄していたとは思うが、毎週そこだけを侮蔑するようなものではなかった記憶があるし、いつしか、“オフコース嫌い”“さだまさし嫌い”だけが独り歩きしてしまったような気がする。 その後、氏が司会をする番組に小田和正(Vo&Key)が出演し、両者の間に険悪なムードが流れたと今も語り草になっているようだが、これはプロレスで言うところの“アングル”だったと思う。いくら昭和のこととは言え、司会者が本気で嫌悪している人とそもそも共演するわけがないし、嫌いと言っても表面的な部分を指してそう言っていたのに過ぎなかったのだろう。 まぁ、氏が“ネクラ”という言葉を使っていたような記憶はあるが、さだまさしもそうだが、そもそもオフコースは簡単に“ネクラ”と括られるようなグループではなく、その指摘はまったくあたらない。ここからは、その名盤とともにオフコースというバンドの秀でた部分を語ることで、それを証明していこうと思う。