【ボクシング】福永亮次が3冠獲得! 粘る中川健太を10回にストップ
14日、東京・後楽園ホールで行われたスーパーフライ級3冠戦、WBOアジアパシフィック王者・福永亮次(34歳=角海老宝石)対日本王者・中川健太(35歳=三迫)の王座統一&東洋太平洋王座決定戦12回戦は、序盤からリードした福永が4回にダウンを奪い、その後、尋常ならざる粘りを見せた中川を振り切って10回2分24秒、レフェリーストップに持ち込んだ。 写真=“当てる”右で中川の顔面をヒットする福永。ボディも再三突いて、入る意欲を無意識にストップした
“当てる”右と“当てない”右
前日計量後のリモート会見で語っていたとおり、福永の右が試合を作り、ポイントを握った。 サウスポー同士の一戦。“リトル・パッキャオ”のニックネームどおり、福永は立ち上がりから右を上下に動かしながらマニー・パッキャオ(フィリピン)に似たリズムに乗って攻め入っていく。早々にプレスを受けた中川は、左ボディフックで何度か飛び込むが、ふたたび“受け身”の姿勢を取らされて、左カウンター狙いにシフトせざるをえなかった。 リング中央のせめぎ合いでもペースをつかんだのは福永だ。“当てない右”をぽんぽんと中川の左顔前へとリズミカルに突いて、中川のパーリングを誘う。中川のそれは、ときに大きくなる。その癖を誘発させておいて右側を開けさせて左クロスを狙う。3回にこれをクリーンヒットさせて、はっきりと中川をバタつかせた。
“当てない右”だけでなく“当てる右”も冴えわたった。これを上下に散らして中川の意識を散開させて、前に出させない。無意識に踏み込みの甘くなる中川の左に、右フックを合わせてダウンを奪ったのは4回だ。それまでに、左を打たせてスウェーバックでかわしざま、何度もタイミングを計っていたものだ。 ダメージ濃厚の中川を、福永は連打で追い込むが詰めを欠く。すると5回、開き直った中川がようやく猛然と襲いかかる。左クロス、右フックと、自ら打ち込んでいき、福永の動きを鎮めた。
劣勢からの猛反撃も、福永の右が遮った
しかし、その後も福永は右を起点にして、左ストレート、右フックを決めていき、中川にダメージを蓄積させていく。が、詰めの部分で中川は必ず気力を振り絞って反撃。「ダメージではなく、スタミナの問題」と福永は言うが、傍目には中川の攻撃が効果を上げているように見えた。