いま若者にもっとも売れてるクルマはどれか? 販売ランキングトップのクルマが支持を集める3つの理由。【クルマの経済学】
なぜ若者はカローラクロスを選ぶのか
それではカローラクロスがなぜこれほど若者に支持されているのか、考察してみたい。 売れている理由① ちょうどいいサイズ感 第一に考えられるのは人気のSUVという車型であり、かつサイズが大きすぎず小さすぎず使いやすいことだ。室内スペースも十分広いし、トランクスペースも487Lとこのボディサイズとしては非常に大きい。 一つ下のヤリスクロスではリアシートのスペースが十分とは言えないしトランクも100L近く小さくなる。ボディサイズが小さいにもかかわらず最小回転半径は5.3mとカローラクロスの5.2mより若干だが大きいという欠点もある(カローラクロスが優秀といった方が良いだろう)。一つ上のRAV4だとボディサイズが大きく、特に1850mmを越える全幅では駐車できない駐車場も少なくない。つまりカローラクラスはとても選びやすいサイズ感なのだ。 売れている理由② ハイブリット車の燃費の良さ カローラクロスには通常のガソリンエンジン車とハイブリッド車があるが、売れているのは断然ハイブリッドのようだ。価格差は35万円だが、燃費はガソリン車の16.6km/Lに対しハイブリッドは26.4km/Lと圧倒的にハイブリッドの方が優れている。 ガソリン1Lを170円、燃費をカタログスペック通りとした場合、この35万円の差を埋めるには9.2万kmほど走らないと元を取れないのだが、ハイブリッド車は売る時のリセール価格が良く、静粛性も高いなど燃費以外のベネフィットもある。 オプション装備となるがハイブリッドであれば1500Wまで使える100V電源も装着可能で、アウトドアでの電源や災害時の非常電源にもなる。またCO2排出削減という社会的なメリットもある。 このカローラクロス・ハイブリッドのベネフィットは競合他車と比較しても際立ってくる。価格的に競合車として考えられるのはホンダヴェゼルe:HEV(ハイブリッド)、日産キックス(e-POWER)、マツダCX-30のディーゼルあたりだろうか。 ヴェゼルe:HEVはカローラクロスより若干小さいが価格は変わらず、燃費も若干だが劣る。日産キックスもサイズは若干小さいにもかかわらず価格は高く、e-POWERはそのシステム上トヨタハイブリッドシステムより燃費が悪くなってしまう(特に高速走行時の差が大きい)。CX-30ディーゼルは高速では燃費が伸び、燃料が安価な軽油のため燃料代は良い勝負となるだろうが、街中での燃費はトヨタのハイブリッドには遠く及ばないはずだ。 そしてこの3車はどれもオプションでも100V電源は付けられず、アウトドアレジャーを考えると少々不便だ。 売れている理由③ 絶妙なスタイリング そして最後に私が考えるカローラクロス人気の最大の理由はスタイリングだ。 スタイリングはあくまで個人の好みで、私個人としてはCX-30の方が好みだったりするが、客観的に見るとCX-30は都会的に洗練されすぎてSUVらしい力強さに欠けているとも言え、好みが分かれるかもしれない。 カローラクロスはCX-30やハリアーにも通じる都会的なスタイリッシュさと、RAV4にも通じるラギッドさも兼ね備えた絶妙なデザインだと思う。一方RAV4はラギッド過ぎて好みが分かれるかもしれない。