「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」(東京ステーションギャラリー)レポート。デザイン界の巨匠が追求した暮らしとは?
デザインを未来へつないでいく
1989年にコンランはロンドンのバトラーズ・ワーフ再開発エリアに、世界初の産業デザインに特化した「デザイン・ミュージアム」を設立し、世界中から注目を浴びた。27年間の活動後、「コンラン財団」の寄付によってミュージアムはケンジントンに移転し、3倍の広さとより充実した内容で再オープンした。私財を投じて実現させた「デザイン・ミュージアム」プロジェクトの背景には、「デザインは世界をより良くするための前向きな活動である」というコンランの信念があったという。多くの人にデザインの魅力を届けることこそが、コンランが残したもっとも重要な遺産であると言えるだろう。
テレンス・コンランとは誰だったのか
展覧会の最終章に辿り着くと、あることに気づく。コンラン本人の写真が展示されているのは、この最後のコーナーだけである。ここには、会場に並べられている様々な資料やインタビューを通じて、コンランという人物を見出してほしいという思いが込められている。ポートレイトの隣にはコンランの最晩年のデザインのひとつ、「トラベル・ザ・ワールド」というトラベルケースが展示されている。ザ・コンランショップ 新宿店の開業25周年を記念して、イギリスの高級スーツケースメーカー、グローブ・トロッターが2019年に限定販売した特別なアイテムである。 見逃したくないのはオリジナルグッズが出揃うミュージアムショップだ。今回はブランドカラー「コンランブルー」が特徴的なオリジナルグッズだけでなく、ザ・コンランショップやデザイン・ミュージアムの関連グッズも多数用意されている。そして、帰り道にザ・コンランショップ 丸の内店に立ち寄り、コンランの世界観を反映したアイテムを探してみるのもおすすめだ。
Alena Heiß