16歳と10歳の子がいます。子が16歳だと年収が高いほうが扶養すると節税になると聞いたのですがどういうことですか? 年収は夫800万円・妻130万円です
16歳と10歳のお子さんがいる夫婦。夫は年収800万円、妻は年収130万円です。今、子どもたちは夫の扶養に入っていますが、夫婦が1人ずつ扶養することもできると聞き、より節税になる方法をとりたいとのこと。このご家族のケースではどうなるのでしょうか。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
はじめに、「税法上」の扶養は柔軟に選択できる
扶養には、税法上と社会保険上の扶養があります。両親が共働きの子どもの場合、扶養の種類ごとに扶養者を変えることができます。 社会保険(健康保険)上の扶養は、2021年8月以降は「夫婦の年収差が1割以内」の場合に限り、どちらの扶養に入れるかを選択できますが、年収差が1割超の場合は、年間における収入が多い親が扶養者となります。 冒頭のご相談のケースでは、社会保険上の扶養は基本的に選択できないので、「税法上」の点から節税になるかどうかを確認します。
ケース1: 16歳の子は夫の扶養、10歳の子は妻の扶養
16歳の子を年収800万円の夫の扶養親族、10歳の子を妻の扶養親族にしたとして、所得税がどうなるかを図表1にまとめましたので見てみましょう。 図表1
(筆者作成)
ケース2: 10歳の子は夫の扶養、16歳の子は妻の扶養
同様に、10歳の子どもを夫の扶養親族に、16歳の子どもを妻の扶養親族にした場合です(図表2)。 図表2
(筆者作成)
年収の多いほうの扶養親族にしたほうが節税につながる
こちらの2つのケースを比較すれば、16歳以上23歳未満の子どもがいる場合、計算上は年収の多い夫の扶養親族にしたほうが、世帯での手取り額は多くなることが分かりました。 一般的に、扶養控除を申請した場合にどのくらい減税になるかについての目安として、 ●所得税の場合:38万円または63万円(19歳以上23歳未満)×所得税率 ●住民税の場合:38万円または63万円×10%(一律) と理解してもいいでしょう。 これにあてはめると、夫の所得税率は20%、妻の税率は5%ですから、 夫の扶養にした場合は、所得税7万6000円、住民税3万8000円 妻の扶養にした場合は、所得税1万9000円、住民税3万8000円 となり、やはり夫の扶養にしたほうが世帯の手取りは多いという結果になります。 図表3
(筆者作成) ただし、税法上の計算式だけで決めてしまう前に、勤務先の扶養手当の制度も確認しましょう。勤務先によっては、会社独自の扶養手当や家族手当を設けているところもあり、該当するための条件を設定しています。夫婦の勤務先のルールを確認してください。 また、住宅ローンを組んだ場合、住宅ローン控除をどちらかで申請した場合は、住宅ローン控除申請をしていないほうの扶養にするなどライフステージに応じて柔軟に検討することが必要です。 出典 国税庁 No.2260 所得税の税率 東京都主税局 個人住民税 執筆者:柴沼直美 CFP(R)認定者
ファイナンシャルフィールド編集部