「周囲は『顔が優しくなった』と。でも…」過激女芸人・モリ夫の東京での“唯一の心残り”
今は芸人をやめる気はまったくない
――東京から北海道に帰った時に、芸人もやめようとは考えなかったですか? モリ夫 東京にいる時も何回かやめたいなとは思ったんですけど、やめてから何ができるんだろうと思ったら、ちょっと怖くてやめられなかったです。あと、もったいないというのも単純にあって。ただ、今は全くやめる気はないですね。
――昔に比べてだいぶやりやすくなった感じですか? モリ夫 さっきも話したようなあんな経験をしてきて、今、すっごくみんなが優しいんで、今やめる必要はないだろうという。 ――そうか。あの時代を耐えてきたのだから。 モリ夫 今でもまだあのままならやめてもいいですけど。 ――芸人であることに意味がある。 モリ夫 何だろう。やっぱり普通じゃないことをやらせてくれるので。これ言ったら本当によくないんですけど、スナックでちゃんと話題になるんですよね、トークのネタになる。店と本業の関係がいい。まあ、一応芸人のほうを“本業”と言ってますけど。圧倒的に今少なくなってますけど(笑)。 ――それこそ今は芸人さんが俳優をやったり本を書いたり、そういう時代ですね。 モリ夫 またそれとスナックは違うような気がするんですよね。俳優とか本って才能な感じがする。脳を使ってる感じ。経営で、しかも酒って、なんかちょっと違う気が(笑)。 ――また店に来てモリ夫さんとお話ししたいと思わせる、才能じゃないでしょうか。 モリ夫 才能かぁ。ザ・くだらない会話しかしてなくて、自分の面白レベルが下がっていってるのが分かりますもん。何でも笑ってくれちゃうから。スナックでウケたことをステージでしゃべったらダダスベりしてますからね。やっぱりスナックのお客さんは優しいんだな。勘違いしちゃう。
東京時代の、唯一の心残り
――また東京に出たいなという気持ちは? モリ夫 もう住みたくないです。暑いの嫌いだし。ゴキブリもやだ。 ――もし今自分が東京のテレビに居たら、どういう戦い方をしていたと思いますか? モリ夫 変わってないと思いますよ。事務所からはいろいろ言われてたと思いますけど。MC勉強しろとか。でも結局自分は自分でしかないし、せっかくこの世界に入ったんだったらそれで勝負したいですよね。 ――それでダメだったら、それは自分の責任だと。 モリ夫 だって、求めてくるこの人、本当にセンスあるの?っていう話に最終的にはなるんで。テレビ業界の人、バラエティーやってる人がみんなセンスあるわけじゃない。すっごいおもんないやつもいっぱいいる。そいつに言われるから腹立つんですよね。まぁ昔の話ですけど(笑)。 一つ後悔しているのは……私本当に黙って帰ってきちゃったんです。お世話になった先輩に「実は帰ります。お世話になりました。今後ともよろしくお願いします」というのを言わずに。ほんとあの時は頭イッちゃってたと思うんですけど。 ――追い詰められていたんですね。 モリ夫 だったんでしょうね。帰ってからしばらくして母と喫茶店に行って「久々に目見れる」って言われたんですよ。「何のこと?」って聞いたら、帰ってきた時は目が怖くて見れなかったって。