長野県松本市、家庭ごみ処理の有料化検討 袋代の値上げ軸に 令和10年度から
長野県松本市の臥雲義尚市長は10日の市議会12月定例会の一般質問で、家庭から排出される可燃ごみの処理費用を住民が負担する「有料化」の検討を始めることを明らかにした。家庭系ごみを排出する場合、現在もごみ袋を購入しているが袋代を負担しているだけで、ごみ処理料は価格に含まれていない。可燃ごみ専用袋代へのごみ処理手数料の上乗せ(袋代の値上げ)を軸に、10年度開始を目指して検討を進める。 同時に、現在は指定ごみ袋を使っていない集合住宅での使用の義務化と分別の徹底、石油由来から植物由来へのごみ袋素材の変更―にも取り組む。 市環境業務課によると、松本市の1人1日当たりのごみ排出量は県内19市中最多の988グラム(4年度)で、全国で4番目に低い県平均の802グラム(同)を大きく上回る。家庭系ごみの有料化には、ごみの排出量を抑える効果や排出量に応じて負担を公平化する狙いがあり、全国で有料化の傾向が進んでいる。県内19市中で実施していないのは松本、茅野、佐久、飯山の4市のみだ。 ただ、有料化による袋代の値上げは市民理解を得るのが難しい面があり、市は平成22(2010)年に有識者らでつくる検討委員会から有料化を推奨する報告書を受け取ってからも有料化はせず、プラスチック素材100%のごみ(製品プラ)を資源物として一括回収する取り組みや食品ロス削減など別の取り組みを進めてきた。製品プラスチックの資源化量などは他自治体と比べて少ないという現状もあり、新たな取り組みに踏み切ることにした。 犬飼信雄氏(誠の会)の質問に答えた臥雲市長は、「これから先、地球温暖化対策や最終処分場の延命化に対する取り組みが一層重要性を増すことに鑑みると、減量化や分別再資源化を徹底するために、ごみの有料化を実施する時期に来ていると考える」と述べた。
市民タイムス