<おちょやん>杉咲花、「とと姉ちゃん」で共演の高畑充希からは「エールをいただきました」
1月4日から放送が再開した連続テレビ小説「おちょやん」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)。 【写真を見る】千代は京都で女給として働くことに ヒロインを杉咲花が務め、昭和の激動の時代に女優の道に全てをささげ、“大阪のおかあさん”として人気を誇った女優・浪花千栄子をモデルとし、その波瀾万丈の人生を人情味たっぷりに描く同作。 今回、千代を演じる杉咲にインタビューを実施。今後、千代が喜劇女優としてまい進していく姿が描かれるが、杉咲自身の持つ喜劇の印象や作品の魅力、また“朝ドラ”そのものについて聞いた。 ■「おちょやん」という作品そのものがモチベーション ――まず連続テレビ小説というと撮影が長期間ですが、モチベーションを保つ方法を教えてください。 お休みもなかなかなかったり、せりふの量が多かったりと大変なことはたくさんありますが、そういう時は改めて台本を読み直したり、共演者の皆さんの顔を見たり、予告や完成した映像を見るとやる気が湧いてきます。 この「おちょやん」という作品が自分にとってのモチベーションになっています。 ――新型コロナウイルスの影響で撮影が一時中断となりましたが、その期間はどのように過ごしていましたか? 時期がずれたことによってできた時間は台本を読むことに充てました。 関西弁のせりふを覚えるのに今よりも時間がかかっていましたし、実際に役として話したことがなかったので、不安な要素の1つでしたから。 自粛期間中は台本の読み込みと、その時に既に撮っていた千代の幼少期を演じている毎田暖乃ちゃんの映像を監督が送ってくださったので、それを何度も見ることで、作品に向き合うことができましたし、千代のことをもっと知ることができたと思います。 ――杉咲さんはこれまでにも“朝ドラ”への出演経験がありますが、“朝ドラ”のヒロインにどんなイメージをお持ちでしたか? “朝ドラ”は15分という短い時間の中で色んなことが起きますが、「とと姉ちゃん」(2016年、NHK総合ほか)の時は自分が携わってみて、その15分にかける熱量を実感して、感動しました。 もちろんどの作品にも当てはまることではありますが、毎朝放送される作品だからこそ、見てくださる方の生活の一部で。出演できることがとてもうれしかったです。 「とと姉ちゃん」の時は出ていないシーンもたくさんあったのですが、それでもリハーサルや撮影時に「“朝ドラ”って大変だな…」と痛感したこともありました。 また、ヒロインの高畑充希さんはもっと大変なのだろうなとも思っていました。 高畑さんとは最近電話で話したのですが、「大変でしょ?頑張ってね!」とエールをいただきました。 実際に自分がヒロインを演じることになり、リハーサルやせりふの量に毎回ついていくのは必死ですが、毎日現場でスタッフさんと顔を合わせ、クランクアップしていく出演者の方を見送り…。 全てに関われることがとても幸せです。 ■「喜劇に対するリスペクトが強くなりました」 ――作中では関西弁を披露していますが、難しさなどはありますか? 今まで方言のある役をほとんど演じたことがなく、いつか演じることができたらなと思っていました。なので、今回は撮影の1年ほど前から指導していただき、こんなにぜいたくに学ばせていただけて、とても楽しいです。 千代は南河内の出身なので、関西弁の中でも言葉が荒かったりするそうなのですが、(千代の幼少期を演じた)暖乃ちゃんは巻き舌がうまくて迫力もあって。 その部分は私も引き継げたらなと思いながら演じています。 関西出身の役者さんとのシーンも多いですが、中でもお父ちゃん役のトータス松本さんとのシーンは、千代の血が騒ぐ瞬間でもあるので、難しさもありますが楽しいです。 ――今回、喜劇女優である浪花千栄子さんが千代のモデルとなっていますが、浪花千栄子さんや喜劇に対するイメージを教えてください 浪花千栄子さんについては「水のように」という自伝を読ませていただいて、毎日を丁寧に過ごすことを大切にしている方なのだろうと思いました。 苦しい体験や辛い思いをたくさんされていると思いますが、それに負けないくらい生きるパワーや諦めない気持ちが強い方だと感じました。 喜劇はこの作品が決まった時にスタッフの方と観に行かせていただきました。初めて見た時は出演者の方々から「すべてのお客さんに笑って帰ってもらうんだ!」という空気を感じて、鳥肌が立ちました。 その姿勢にも感動しましたし、「おちょやん」を通して改めて人に笑ってもらうことの大変さを知ったので、喜劇に対するリスペクトが強くなりました。 ――コメディ要素もある「おちょやん」に取り組む中で、改めて感じた“笑わせる”ということの難しさや感じたことはありますか? 星田英利さんのように人を笑わせることをずっとしてきた方と実際に一緒にお芝居をしてみて、改めてすごいなと感じています。ツッコミとかもすごく早くて。 撮影をしていない時でも常にボケたりツッコんだり。その姿が本当に面白いです。 千代に関しては、本人が笑わせようと思ってやっているのではなく、周囲から見ているとその様子が面白いという場面が多く。 そういうシーンは考えすぎて演じると面白くなくなってしまうというか、気づいたら面白がらせよう!としてしまっている自分がいて、こうじゃないな、と感じることもあります。 また、“朝ドラ”には監督が何名かいらっしゃるのですが、全然カットをかけない方もいらっしゃって…。 そのシーンのアドリブを楽しんでいるんです。 そういう時は自分なりに頑張ってアドリブを言ってみたりするのですが、びっくりするくらいシーンとなることもあったりして、すごく落ち込みます(笑)。 そんな時でも「次頑張ろう!」と思えるようになってきたので、メンタルは強くなったと思います。 ■生きるパワーを感じていただければ ――千代は女優への道を進んでいきますが、女優である杉咲さんが千代から学んだことはありますか? 千代はすごく機転が利くので、ハプニングが起きた時でも真正面から対応しようとする力があるんです。 私はアドリブがすごく苦手だったんですが、「このあとどうなるかとかじゃなくて、今ここで起こっていることを受け止めなければ。千代もそうしてる!」と思うようになって、焦ったりすることは減ってきたかもしれません。 ――千代が結婚することになる天海一平役の成田凌さんとは共演経験もあるかと思いますが、改めてご共演されていかがでしょうか? 成田さんは「わろてんか」(2017~2018年、NHK総合ほか)に出演はされていましたが、私と同じく関西の出身ではないので、助け合いながら日々を乗り越えています。 これまでに何度もご一緒させていただいていますし、今回幼なじみという役どころでもあるので、本当に“同志”というような感じです。 演技については思ったことは何でも話すようにしています。「このシーンの千代ってこんな感じかな?」とか、普段は共演者の方と話さないことも話すことができるので、成田さんが現場にいてくださると安心感があります。 ――最後に作品の魅力について教えてください。 「おちょやん」の登場人物は険しい道を歩んでいたり、苦しい体験をしている人がたくさんいるのですが、誰かに支えてもらったり、相手を支えたり、みんな抱えている困難を乗り越えようとしている、生きるパワーを感じます。 この作品を見てそのパワーを皆さんにも感じていただけうれしいです。 ■第5週(1月4日[月]~1月8日[金])あらすじ 道頓堀から飛び出した千代(杉咲花)は京都にたどり着く。 そこで、「カフェー・キネマ」という店で、住み込みで働くことになる。店長の宮元(西村和彦)は映画好きで、この店には同部屋の真理(吉川愛)ら、女優を目指しながら働く女給たちがたくさんいた。 そんな時、千代は真理の紹介で山村千鳥一座という劇団の試験を受け、合格。ところが、それは役者としてではなく山村千鳥(若村麻由美)の身の回りのお世話役だった。