将棋のルールは400年間変わっていない!?“将棋大好き芸人”が教える「ルールを知らなくても楽しめる」将棋の見方
将棋は戦争ゲームではなく財産ゲーム
将棋には元となったゲームがあります。古代インドのボードゲーム「チャトランガ」です。 このチャトランガは、戦力を削って相手の王を倒す戦争ゲームで、もともとは戦争好きの王様をなだめるために生まれたゲームと言われています。 そのチャトランガが西に伝わってチェスとなり、東へ伝わって中国のシャンチー、朝鮮のチャンギとなりました。これらのゲームはチャトランガと同様に「戦争ゲーム」といえます。 それは使用される駒が兵力を表しているからです。王様がいて、兵隊がいて、馬がいて、車がいる。ゲームのベースはみんな同じです。 ただ、将棋だけはモチーフが違います。将棋が生まれたのは平安時代と言われていますが、この時代は「平安」の文字通り、表立った戦争が行われていないんですね。 将棋を嗜む上流階級は戦争をモチーフにしてもピンときません。そこで、もっと身近なものにモチーフを変えたんです。それが財宝です。
王将と玉将が誕生した一つの説
香車の香、桂馬の桂、銀将の銀、金将の金、玉将の玉。この香桂銀金玉は仏教の五宝を指す言葉です。この宝を指す言葉にチャトランガ由来の将、馬、車という文字が付いて将棋の駒になったのです。 ちなみに、今の将棋には王将と玉将がありますが、もともと王将は存在せず、玉将が2枚でした。 豊臣秀吉が将棋を指すときに、玉将の点をとり王将として崇めたことから王将が生まれたという説があります。おしゃれな言葉遊びですね。 安い駒で価値の高い駒を取るのが、将棋の基本的な考え方です。もともと敵の兵力であった駒を自分の兵力にする、というのは少し違和感がある方もいると思います。 しかし、この「財産ゲーム」という考え方をすると、相手の駒を取って自分のものにする、という駒の再利用の考え方も不自然ではなくなりますよね。 寺内ゆうき お笑いコンビ「ランパンプス」。2013年、楽屋で先輩に誘われた将棋でボロ負けしたことをきっかけに将棋の勉強を始める。年間のプロの将棋観戦は1000局以上。YouTubeチャンネル「よしもと将棋芸人と金チャンネル」を開設し、将棋を知らない人にもわかりやすく将棋の魅力を伝えるための動画の企画・出演・編集を担っている。
寺内ゆうき