静岡側の富士入山料、適正な金額は…交通事業者「3000円なら」観光団体「1万円でもいい」
来夏の富士山登山の規制強化を巡り、静岡県は21日、地元の市町や山小屋組合、登山ガイド団体などでつくる「安全快適な富士登山推進会議」を沼津市内で開き、1人3000~5000円の入山管理料を義務化することなどを盛り込んだ規制案を示した。出席者からは「高すぎないように」「より価値を高める努力を」などと意見が噴出。県は関係者らと協議を進め、来年2月の県議会に条例案を提出する方針だ。 【表】富士登山の新たな規制強化案
規制案では、任意の富士山保全協力金(1人1000円)を廃止し、協力金と統合して「入山管理料」として「3000円」「4000円」「5000円」の3案を検討する。夜間の通行規制については、登山所要時間から算出し、御殿場口では午後1時、須走口で同3時、富士宮口で同4時から、いずれも午前3時まで行うとしている。
入山管理料は県が管理し、必要な経費にあてる。料金徴収や通行規制にともなう管理運営費を約3億円と試算し、3000円の徴収でまかなうとした。4000円に設定すると、遭難防止などの安全対策や登山道などの保全管理を含めた約4億円の経費をまかなえる見込み。さらに使途を拡大する場合は5000円とした。
条例制定の目的として、「世界遺産である富士山の価値を守り、国内外から訪れる登山者が『神聖さ』『美しさ』を実感できるような安全で快適な富士登山の実現を図る」などと明記。規制期間は開山期間の7月10日~9月10日とし、入山条件としてルールやマナーの事前学習などを設ける。
山梨県では、今夏に2000円の通行料や午後4時以降の夜間の通行規制を導入し、弾丸登山の減少などの効果があったとされる。
入山管理料の金額設定を巡っては、出席した交通事業者が「高すぎと思われないように考えてほしい。3000円なら登山者も利用しやすい」と意見したのに対し、警察から「遭難や救助の対策を考えると3000円では足りない」、観光団体からは「富士山は3000円の価値しかないのか。1万円でもいいくらいで、より価値を高める努力をすべきだ」などといった声が上がった。