【峯田和伸ロングインタビュー】『越年 Lovers』撮影裏話や大好きな映画・音楽の話まで
インタビューは思いがけない告白から始まった
台湾のグオ・チェンディ監督が、感銘を受けた岡本かの子の短編小説集をベースに、年越しのマレーシア、日本、台湾の3組の男女が織り成す不器用な恋愛の行方を描いたラブストーリー『越年 Lovers』。 【全ての写真】峯田和伸ロングインタビュー 大晦日の山形が舞台の日本編に出演し、故郷の山形で、同じ山形出身の橋本マナミと山形弁での恋模様を味わい深く体現した峯田和伸を直撃! 撮影に入る前のプライベートの出来事から撮影の裏話、仕事のスタンス、大好きな映画や音楽の話までたっぷり聞いちゃいました。 幼馴染みの太郎から「恋人の碧(橋本マナミ)から別れることになった」という報せをもらった寛一は、その電話をきっかけに大晦日の故郷・山形に久しぶりに帰ってくる。 ところが、太郎は不在。代わりに思いがけない形で、初恋の相手だった碧と数十年ぶりに再会することになるが……。 そんな数十年越しの恋を見つめた『越年 Lovers』の日本編で、主人公の寛一を等身大で演じた峯田和伸。そのインタビューは思いがけない告白から始まった。 ――今回のオファーを最初に聞いたときはどう思われました? 地元の山形に出向き、そこで撮影するということを僕はいままで経験したことがなかったので、山形出身の役者同士が山形弁のセリフを喋る設定にまずは惹かれました。 台湾の監督が撮るということにも興味がありましたね。それで「ぜひやりたい」と言って参加させていただきました。 ――台本を読まれた印象は? 自分の中に100個ぐらい人格があるとしたら、僕が今回演じた寛一はその中にいた奴だったんです。 そういう奴じゃなかったらたぶん「ごめんなさい」って言ったと思うんですけど、自分の中にもあるキャラクターだったのでやれるな~と思いましたね。 ――高校時代の初恋の女性に何十年ぶりかで会って、お互いに相手の気持ちを何となく知りながらどちらも告白しない、そのじれったい感じが可愛いなと思いました(笑)。 撮影に入る3年前にちょうど地元の同窓会がありまして。僕、いままで一度も同窓会に行ったことがなかったんですよ。 でも、40歳を記念して企画されたその同窓会に行かなかったら、たぶん一生行かないだろうなと思ったので初めて参加したんですね。 そしたら出席率もけっこうよくて、僕が小学校1年生から中学校3年生まで9年間、ずっと好きだった女性も来ていたんです。 ――片想いだったんですか? 1回も想いを伝えたことはないです。その彼女が、同じテーブルの対面の席に座っていたんです。でも、ほかの人とは「久しぶりだね」と言ったり、「峯田、テレビで見てるよ」「ドラマ、見てるよ」とか言われたりして、けっこう喋ったんですけど、彼女とはひと言も喋れなかったんです。 もう大人なんだから、普通は「あっ、どうもどうも」っていう感じで打ち解けられるじゃないですか? でも、行けねえんだな~、俺と思いましたね。 ――彼女も話しかけてこなかったんですか? 向こうもこなかったです。目も合わなかった。気配はもちろん感じていただろうし、いや、話しかけられるタイミングは絶対にあったと思うんですよ。けど、行けなかった。だから、まだ行けねえんだな~、俺と思って。 それで東京に帰って台本を読んでいたときに、あっ、あるわ、未だにこの行けねえ感じは俺にもあるわと思ったんです。