Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

合宿禁止令、練習量は例年の6割、見えない目標……それでも早大競走部は「ニューノーマル」で箱根路に挑む

配信

  • この記事についてツイート
  • この記事についてシェア
文春オンライン

「自分は何に向かって練習しているのだろう?」 コロナ禍に翻弄された1年で早大駅伝主将が考えたこと から続く 【画像】コロナ禍の中で懸命に練習する早大競走部の写真を見る 「今年は直前に予定が変わるということが多かった。2月も中谷(雄飛、3年)が実業団の合宿に行く直前に合宿禁止令が出されたし、3月も記録会が前日に延期が決まり、さらに延期したところで活動自粛になりましたから……。まさに“3三振”からのスタートでした」  早大競走部の相楽豊駅伝監督は、新型コロナウイルスの感染が日本国内で広がり始めた春季を、このように振り返る。

陸上選手にとっての1年間が持つ「重み」

「春先に4年生から『箱根駅伝が本当にあるのか心配です』と言われたんです。その時には、明確にその不安を打ち消すことができませんでした。最後の年に目標としてきた試合がなくなるのは、本当にかわいそうなことだと思います。  そしてそれは4年生に限ったことではありません。選手からしてみれば、1~3年生だって選手寿命は限られていますし、大学4年間という短い時間のうち1年間がなくなるのは平等につらいことだと私は思いました。逆に、『来年もあるし……』と思っているうちは、自分自身の選手寿命の重さを大切に考え切れていないということかなと。私にとっても、人生の中ではたかが1年でも監督人生は何十年もあるわけではないと思うので、この1年間は非常に重たいものだと思っています」  多くの試合が中止、延期となったが、選手寿命の短いアスリートにとって、その1年間がどれほどの重みを持つかを相楽監督は代弁する。  新型コロナウイルスに翻弄されたのはどの大学も同じだが、早大はとりわけその影響が大きかったように思う。特に、夏季期間の過ごし方が例年とは大きく異なった。

駅伝シーズンに向けて重要な夏合宿が「禁止」に

 大学駅伝チームの夏は、秋冬の駅伝シーズンに向けて、高所や比較的涼しい北海道などで合宿を行なうのが恒例だ。「夏を制する者が箱根駅伝を制す」などと言われることもあるほど夏の走り込みが重要とされている。  新型コロナ禍の夏、“はたして夏合宿を行えるのか”という懸念は、前期にはどの大学も持っていたが、結局は、感染予防を徹底しながらも、避暑地や高所で夏合宿を敢行したチームがほとんどだった。早大もまた、7月に熊本・水上村で1次合宿、8月中は長野・峰の原高原、新潟・妙高高原で2次合宿、9月中旬からは岩手(奥州、花泉)と山形・蔵王高原で3次合宿と各地を転々とする予定を立てていた。  しかし、春季と同様に、合宿を迎える直前になって、大学の理事会で合宿禁止が決定した。結局、早大は拠点とする所沢で夏を過ごすことになった。本来であれば、朝、午前、午後の3部練習を行うところだが、猛暑の所沢では、従来のようには練習をこなすことができなかった。  朝は5時半に練習をスタート。午前中は、エアコンのある部屋にトレーニング器具を持ち込み、各自でフィジカルトレーニングの時間に当てた。午後練習は17時半スタートで、負荷の大きいポイント練習は日が沈んでから行った。また、長い距離を走る練習の日には、山梨・西湖まで日帰りで行ったこともあった。熱中症を考慮し、日が昇っているうちは走ることを控えたため、練習量は例年の6割程度まで落ちたという。  だが、「合宿地に行ったほうが練習量は増やせるし、質も上げられるので、最初は『なんでうちだけ合宿ができないんだ』という気持ちがありました。でも、だからといって、駅伝でスタートラインに立った時にハンデをもらえるわけではありません」と駅伝主将の吉田匠(4年)が言うように、結果が求められる世界では、夏合宿ができなかったことは何の言い訳にもならない。「自分たちに与えられた環境で、できる限りを尽くそうと話し合いました」と前を向いて、できることに取り組んだ。

【関連記事】