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「発熱4日以上は検査要件ではない」間違えたのは国民や現場のせい、とでも言いたげな加藤厚労相発言を信号無視話法分析

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HARBOR BUSINESS Online

厚労省の発熱4日間ルールを守った結果、自宅待機中に亡くなる感染者

 厚労省が2月17日に新型コロナウイルス感染症の相談・受診の目安として発表した「37.5度以上の発熱が4日以上続く」というルール。これによって、4日間の自宅待機中に容態が悪化して亡くなるケースが報道され始めている。世田谷区の社員寮で遺体で発見された単身赴任中の男性の場合、保健所に電話をかけてもつながらず、発熱から6日後にようやくPCR検査を受けたものの、陽性と判定されたのは死後だった。(参照:「世田谷の社員寮、単身赴任中の50代男性が遺体で発見…死後に「陽性」判定」読売新聞 2020年4月28日)  短期間で容態が急変するケースが明らかになった以上、発熱後4日間は自宅待機させるルールは改めるべきではないか。2020年4月29日の参議院予算委員会では、立憲民主党・蓮舫議員が加藤勝信厚労相にこの問題の改善を要望。その結果、加藤厚労相から「発熱4日以上は検査要件ではない」という衝撃的な発言が飛び出し、物議を醸した。本記事では、この質疑を信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)  質問に対する加藤厚労相の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。 <色別集計・結果> ●加藤厚労相:赤信号 93% 灰色 7% *小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない  赤信号が93%と驚異的な割合を占めている。つまり、質問には一言も答えていない。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。 実際の映像は筆者のYoutubeチャンネルで視聴できる。

「発熱4日以上は検査要件ではない」

 問題の発言が飛び出した、蓮舫議員と加藤厚労相の質疑は以下の通り。 蓮舫議員:「都内の単身赴任の社員寮で急死。発熱後も保健所に電話が繋がらなかった。検査を受けられたのは発熱から6日後。そして、検査結果が出たのは亡くなった後だという報道もあるんですよ。今の検査体制だと救えない命あるじゃないですか。著名な芸能人も自宅待機の間に重症化して病院に行って亡くなるとか。家族が会えるのはお骨だとかおかしいじゃないですか。やっぱり、このね、2月に決めた『熱が37.5度以上4日以上続く』『呼吸困難』『強いだるさ』。もうどんどん症例は変わってきてるんだから。総理、この検査を受ける要件、緩和してください。総理*」 〈*蓮舫議員は安倍総理に質問したが、自民党・金子原二郎委員長はいつものごとく、安倍総理でなく加藤厚労相を指名〉 加藤厚労相:「これは別に検査を受ける要件ではなくて、受診の診療の目安と言うことでありまして、これについては37.5度4日というのは要するにそこ以上超えるんだったら必ず受診をして頂きたい。そういうことで出させて頂きました。そして倦怠感等がある。この中には、よく、それも4日だ。あるいは37.5度と倦怠感が両方だと。まあ、こういう誤解はありましたから、それはそうではないんだ。倦怠感があれば、すぐに連絡をして頂きたい。こういうことは幾度となく周知をさせて頂いております。あの、さらにまたそうした誤解があればですね、あの そうした誤解を解消するように努力をしていかなきゃならないと思いますが、(赤信号)  ただ、やっぱりそれ以前の問題として、先ほど申し上げた、やっぱり 保健所機能を含めて ですね、 そういったところが本来その機能が発揮できるように我々は一緒になってですね、 一つ一つのネック、 ボトルネックと言いましょうか、あー、課題を解決していく。で、これ、 前と一緒じゃないかとおっしゃいましたけど、これ1個1個、本当に現場も相当努力をしながらやって頂いております。えー、 東京都においては医師会がPCR検査やりましょうと手をあげて頂いております。そして、中には、えー、 今我々PCR検査の人手という問題がありますんで、歯科医師の方にも協力をお願いいたしました。そうやって一つ一つ乗り越えながらですね、 地域と一緒になって、えー、ち、 国民の皆さんがあるいは地域の皆さんが安心していける、こういう状況を1日も早くつくるべく努力をさせて頂きたいと思います。(赤信号)」 蓮舫議員:「誤解をしたのは保健所とか国民が悪いんですか?政府がずっと説明してきたじゃないですか。尾身副座長も3月10日のこの予算員会で、『PCR検査のキャパシティの問題があったから、そして、今回の場合は症状が長く続くから、まあ5日ぐらいまで、まあ一般の人は3日ぐらいまで。4日というのが普通の人です。』  すごくざっくりとした説明をしたんですが、それを受けて厚労省は『4日以上、37.5度以上、だるさ、厳しさ、息苦しさ』 だから電話相談したら、あなたは典型例に合わない。まだもっと家に居てくれ。その症状だと、この外来に繋げませんって断られてるんですよ。誤解じゃないでしょ。誤解を生んだのは厚労省の説明じゃないですか」  加藤厚労相の答弁は1段落目、2段落目ともに論点をすり替えており、赤信号とした。 1段落目 【質問】検査要件の緩和 ↓ すり替え 【回答】受診目安の定義 2段落目 【質問】検査要件の緩和 ↓ すり替え 【回答】検査能力の向上  37.5度以上が4日間続くことは「検査を受ける要件ではない」という問題の発言は1段落目の冒頭から始まっている。この4日間ルールを理由に検査を受けられなかった感染者がいることは明らかであるため、この発言を含む1段落目は虚偽答弁ではないかと筆者は当初は考えていた。だが、改めて厚労省が2月17日に出した事務連絡に目を通したところ、確かに加藤厚労相の答弁通り、「相談・受診の目安」として「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方」と記載されている。  つまり、1段落目で加藤厚労相は決してウソは語っていないと捉えることもできる。受診の目安については、2月17日に厚労省が出した事務連絡と確かに一致しているからだ。だが、加藤厚労相は厚労省が示した「受診の目安」(=37.5度以上が4日以上)と質問で問われた「検査の要件」を意図的に区別しているのではないか。そして、あくまで受診の目安として示した4日間ルールを、保健所や相談者は検査要件だと勝手に誤解したと主張している。とてつもなく卑劣だと思う。しかも、ご飯論法で悪名を轟かせた加藤厚労相らしく、この内容を平然と答弁している。  蓮舫議員も答弁後に指摘している通り、「4日以上、37.5度以上」の基準に合わないという理由で検査を拒否された相談者が大勢いることは周知の事実であり、死者まで出たというのに。

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