フードロスと子供の貧困問題を1缶で解決 食べると満腹になる「世界一温かい缶詰」の中身
支援・協賛企業を集める際には三好さん自らが「いきなり電話作戦」で思いを訴えた。現在の支援・協賛企業は約60社に上る。このうち、企業名の入った缶詰ラベルがあるのは47社で、「カンヅメモ」と呼ばれる企業からのメッセージが記載されている。
■アイデアコンテストも
今年は子ども食堂や児童養護施設などに2千缶を配布。さらに、小中高校でESD(持続可能な開発のための教育)・SDGs(持続可能な開発目標)活動の一環として行う出前授業にも積極的に取り組み、今年度は1100人以上の児童生徒が参加している。
出前授業で子供たちから「私たちにもできることはありますか」との声を聞き、高校生を対象にした社会課題解決アイデアコンテスト「コノヒトカン1000缶プロジェクト」を思い立った。県教育庁に掛け合い、周囲の反対を押しのけて3年前にスタートさせた。
今年から対象を専門学校生・大学生、全国に拡大。エントリー21校51チーム、10月の大会には21校24チームが出場し、能登被災地支援などを発表した。
コンテストではコノヒトカンの活用方法が発表され、入賞10チームには各100缶を上限に提供される。その後、それぞれの提案を実践するが、三好さんによると、「出場前から行動・実践に移している子供が多い」という。
出前授業で関心が高まり、缶詰に記された企業のメッセージに返事を書く子供も増え、思いのバトンがつながっていると感じている。「缶詰から始まる物語。受け取った人も届けた人も、一人一人が物語の主人公になれる魔法のアイテムだと信じている」と三好さん。「『誰かのために』と願う熱い思いを地域に、全国に広げたい。子供たちには自分の可能性を信じて挑戦してもらい、希望に満ちた明るい未来を一緒につくっていきたい」(和田基宏)