維新・遠藤敬国対委員長が代表理事 「秋田犬保存会」に一般社団法人法違反の疑い
日本維新の会の遠藤敬・国会対策委員長(53)が代表理事を務める公益社団法人「秋田犬保存会」が主催する秋田犬の展覧会を巡り、公平性を欠く審査が行われているとの指摘が相次いでいることが、「 週刊文春 」の取材でわかった。複数の現役審査員が証言した。公平・公正な審査をすることを記した定款に抵触している可能性があり、一般社団法人法違反の疑いがある。 【画像】保存会から遠藤氏への為書き 遠藤氏は飲食店経営などを経て2012年の衆院選に大阪18区から出馬し、初当選、2015年から現在まで国会対策委員長の要職にある。 「菅義偉前首相らとも親交が深い。若い維新執行部にあって、経験豊富な遠藤氏は“最高幹部”の一人」(政治部記者) その遠藤氏は2016年から秋田犬保存会の代表理事(会長)を務めている。秋田犬保存会は、秋田犬の血統書の作成、展覧会の運営、会報の発行などを行う公益社団法人。遠藤氏は同会の代表理事として、2018年5月にはロシアの首都・モスクワで、平昌五輪フィギュアスケート女子金メダリストのアリーナ・ザギトワ選手に、秋田犬の「マサル」を贈呈している。 秋田犬保存会は春・秋年2回行われる「本部展覧会」を主催。近年、秋田犬の人気は海外で急騰しており、過去には本部展の受賞犬が1000万円以上の価格で中国に売られた例もあったという。 本部展などで、約20年にわたり審査員を務めてきた佐野茂氏はこう証言する。 「本部展で、審査部長のT氏に一方的に順位を押し付けられ、不公平な審査を強いられました。本来は合議審ですが、担当審査員の私と議論することもなく、勝手に順位を決められたのです」 T氏は遠藤氏の幼馴染という間柄。日本維新の会・柳ヶ瀬裕文総務会長のYouTubeにも出演し、「今の自分があるのは遠藤のおかげ」などと語っている。
遠藤氏に近しい人の犬を、T氏が上位に
昨年12月5日に開催された第144回本部展では、壮犬牝部門や成犬牝部門の審査を担当していた佐野氏。だが、壮犬牝部門でT氏が1席に指定したのは、担当審査員である佐野氏が上位グループには置いていない犬だった。 「逆に私が上位に置いた犬は『(良くないとされる)耳さしが深い犬や』と外されました。しかし、その後の審査部会で10名以上の審査員にその犬の写真明無しに送ると、T部長も含め全員『深くない』と回答した。もう一方の成犬牝部門でも合議のないまま、私が下位グループと判断していた犬を3席に押し上げました」 T氏が押し上げたのは、遠藤氏が繁殖した犬を育てている人や、昔からの知人が、ハンドラー(犬を引く役割)を務めている犬だった。 この本部展の審査について、審査員を務めた7人のうち4人が、「週刊文春」の取材に応じ、「合議もなく、充分な審査ができなかった」と認めた。 保存会の定款には〈審査員は、本会で定めた『秋田犬標準』を遵守し、公平・公正な審査をする〉と記されている。佐野氏は審査を巡る問題を今年1月16日の審査部会で提起したものの、執行部が前向きな対応を示すことはなかったという。 内閣府公益認定等委員会は以下のように回答した。 「定款が遵守されなければ、一般社団法人法違反です。是正されなければ公益認定取り消しもあり得ます」 秋田犬保存会は主に以下のように回答した。 「(不公平な審査は)事実無根です。仮に指摘の不公平な審査が行われた場合、当会審査部服務規程違反で処罰の対象になるため、顧問弁護士に相談の上、所定の手続きにより各人に対して聞き取り調査を行う予定ですが、取り急ぎT部長(回答では実名)に確認したところ、不公平な審査は行っていないとのことです。よって、当会は当会定款、一般社団法人法、公益財団(ママ)法人法に違反する行為を行っていないと考えております」 遠藤氏に話を聞いた。