【中国】トランプ関税がハイテク産業影響、任沢平氏
トランプ次期米大統領が中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと表明したことで、中国の対米輸出に及ぼす影響を懸念する声が出ている。中国著名エコノミストの任沢平氏は、半導体や電子部品、コンシューマーエレクトロニクスなど中国のハイテク産業が直接的な影響を受けるとの見方を示した。 トランプ氏は25日、中国からの全ての輸入品に10%の関税をかけると発表した。中国からの輸入品には既に、前回政権「トランプ1.0」が2018年に発動させた追加関税が課せられている。 任氏によると、中国から23年に輸出した電子製品のうち、米国向けは金額ベースで全体の約15%を占めた。とりわけ中国製携帯電話は米国向けが27.7%を占め、最大の輸出先だった。家具や家電、アパレル製品も多くを米国向けに輸出しており、任氏は「関税の引き上げはこうした労働集約型産業の輸出を制限する」と指摘した。 ■迂回輸出も難しく 任氏は、バイデン政権が決めた中国製電気自動車(EV)や太陽電池などへの関税引き上げに、今回の10%の追加関税が加わると、商品価値が5万米ドル(約761万円)の中国製EVを米国に輸出する場合、5万5,000米ドルの関税がかかることになると指摘。中国自動車メーカーは、東南アジアやメキシコなどを迂回(うかい)して米国に輸出する必要があると説明した。 ただ、トランプ氏は中国だけでなく、メキシコとカナダにも就任初日に25%の関税をかける方針を示しており、迂回輸出も厳しくなりそうだ。 中国自動車業界団体の全国乗用車市場信息聯席会(CPCA)によると、米国向けのEVなど「新エネルギー車(NEV)」の輸出台数は23年に1万8,600台と全体の0.4%にとどまっており、影響はそこまで大きくないとみるが、コスト圧力は高まるとの見方だ。 ■早期の対策を 任氏は「貿易摩擦は緩和されても、終わることはない」と指摘。米国による「封じ込め」に直面する中で、中国は内需拡大のために第2弾の景気刺激策を早急に導入すべきだと強調した。 現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」沿線国との協力も進め、欧州や東南アジア、中南米などの各国との協力を強化すべきだとも指摘。産業移転や生産面での協力を加速することが必要だとの見方を示した。