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エルトン・ジョン絶賛の日本人シンガー、リナ・サワヤマが語る「人種差別」「マイノリティ」そして「音楽」について

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ハーパーズ バザー・オンライン

 今年4月にアルバム『Sawayama』をリリースし、その完成度の高さをエルトン・ジョンにも称えられたリナ・サワヤマ。彼女は、グローバルな新型コロナウイルスのパンデミックの渦中に、アルバムをリリースしようとそもそも計画していたのだろうか?「いいえ、とんでもないわ」と、ロンドンからの電話で彼女は笑って答える。 【写真】え、あの人も?実はグラミー賞を受賞していない、伝説のアーティスト25組 しかし、時間的余裕ができた今、考えてみると、これ以上にぴったりなタイミングはなかった。ポップスターとして人気急上昇中の日系イギリス人である彼女が4月20日にリリースしたLP『Sawayama』が大絶賛されている。家族や信頼できる関係、クィアであるアイデンティティ、アジア人であることを受け入れることなどをテーマにしたアルバムで、“コロナ時代“にアジア人に対する人種差別が急増したこともあり、現在、多くのヘイトの対象となっているコミュニティを讃える待望のプロジェクトだ。

「意義があるものであればといいな、と思っているわ」と、彼女。「一般的には、このアルバムが人々にこの状況を感じさせたり、あるいは人々の気持ちを紛らせたりするものになればいいと思う」。だが、勘違いはしないでほしい。「私の中にはずっとアジア人というアジェンダはあったから、大丈夫(笑)。ごめんなさい、私は常にそのことを考えているから」 彼女自身がこのパンデミックで個人的にターゲットにされることはなかったけれど、残念ながらキャリアではずっと人種的なマイクロアグレッション(人が無意識のうちにマイノリティを差別すること)を経験してきた。 例えば、「君が英語で歌ってることにかなりビックリしたよ」とか、「Wagamama(ラーメンなど日本風の食べもののチェーンレストラン)って日本食屋に行ったことある?」などと言われたことは、シングル『STFU!』のミュージックビデオでも再現している。 「すべて、私や私の友人が出会った本当の会話から採用したもの」と、彼女。そうしたジャブに対し、彼女はヘッドバンギングするようなメタルとキラキラのポップが合わさったトラックでお返しして「うるせぇ」と、コーラスでささやいている。 ぶっきらぼうなパワーコードで、音響的には耳障りな曲で、マイクロアグレッションに対する彼女のフラストレーションを反映していると同時に、過去のシングルや2017年の『RINA』などで聴いたような、彼女のシグネチャーである2000年代ポップのヒネリを期待したリスナーを意図的に混乱させている。 しかし、ケンブリッジ大学出身のアーティストでもある彼女は、パンク、ロック、オルタナティブ、ポップを多彩に操る才能を見せる一方で、このアルバムはまとまりがないと思われるのではないか、と怖かったという。 「たくさんの異なるジャンルがありながら成功させるということがこのレコード最大のチャレンジだった」というサワヤマは、リンプ・ビズキットやエヴァネッセンス、アヴリル・ラヴィーン、ジャスティン・ティンバーレイク、ファレル、N.E.R.Dなどを聴いたり観たりして育った。「でも、そこには何かつながるものがあって、私は常に作曲と作詞にフォーカスしてきた」 2017年に人気が出始めたサワヤマが、ジャーナリストたちからポップ界で数少ない、優れたアジア人アーティストのひとりであることについて質問されてからだいぶ時が経った。彼女はそれを良いサインだと捉えている。 「いまはほぼ当たり前のことになってきている」と、88Risingコレクティブのミュージシャンたちや、ニキ、リム・キム、ミツキといった同時代のアーティストたちの名前をあげる。グローバルなコロナ危機を別にしても、彼らのようなアーティストが自分たちのストーリーをシェアして、メインストリームの欧米の音楽ではあまり語られなかった経験に光を当てることは大事だ。 「ミツキの『Your Best American Girl』がどれほど刺さったか、憶えているわ。私がまさに大学で感じていたことだったから。あの感覚がわかる女の子はたくさんいる。でも、私はまだどこにも出ていなくて、言われたことがないものを書き続けていきたい」と、言うサワヤマは、日本で生まれ、5歳の時に家族とともにイギリスに移住した。「でも、もっともっとたくさんの人がいる。だから、私たちは静かに構想を練って、自分たちのすべきことをやっているだけよ」 サワヤマはロックダウン中も元気に過ごしているが、一番辛いのは、日本で暮らす母親と会えないことだという。だが、離れていても連絡はとりあい、母は彼女のインタビューをすべて読み、彼女のフェイスブックに送っているという。彼女はまた、この状況下でどう新作をリリースすればいいかも意識している。 音楽に集中することと、ファイナル・ファンタジーで遊ぶこと、エイブルトンを使った制作のしかたを覚えることの合間に、サワヤマがBAZAAR.comに、この重要なアルバムについて分析してくれた。

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