ウクライナ避難女性「早く戦争終わって」 娘頼り、茨城・つくばみらいに
ロシアによる侵攻を受け、激しい戦闘が続くウクライナから家族が暮らす茨城県つくばみらい市に避難してきた女性が16日、同市役所を訪れ、来日までの迅速な対応に「とても感謝している」と支援への謝意を小田川浩市長に伝えた。会見では、「早く戦争が終わることを望んでいる。日本人にも平和を祈ってほしい」と切実な思いを訴えた。 女性はゴラルスカ・リュボヴィさん(75)。リュボヴィさんは東部ドネツクで暮らしていたが、戦火を逃れるため、同市内に住む娘の武藤マリヤさん(52)を頼って、4月17日にバスでドネツクを脱出。モスクワを経由して、トルコ・イスタンブールから羽田空港に入った。同20日に同市に到着し、現在はマリヤさんの家に滞在している。マリヤさんとは3年ぶりの再会だった。 「ずっと平和に暮らしてきたのに、何でこんなことが起きるのか」。リュボヴィさんが住んでいた自宅アパート周辺でも爆弾の投下や銃撃戦があったといい、風呂場や廊下など窓がない場所に身を隠したり、2カ月半の間、水道が使えない状況も経験した。 現在はトマトや花を栽培したり、ピロシキを作って近所の人に配ったりするなど穏やかに過ごしている。住民登録や銀行口座開設など市からの支援について「とても満足。十分な支援を得た」と喜んだ。 一方で、ウクライナでは総動員令により、18~60歳の男性は出国できないため、孫(29)がドネツクに残っている。毎日のように電話で話しているが、「心配でたまらない」と表情を曇らせた。孫は交通事故で親を亡くしたため、14歳の時からリュボヴィさんが1人で育ててきた。「もし戦争が終わるなら、ウクライナへ帰りたい」と母国への思いも吐露した。 市によると、ウクライナから市内への避難は初めて。市は独自の支援金30万円を今月下旬にも支給する予定。小田川市長は「(リュボヴィさんが)ひとまず安心して暮らせる状況をつくれた。一人でも多くのウクライナの方を助けられるよう今後も支援していく」と話した。
茨城新聞社