自己肯定感を育むヒント。成功よりも体験、「普通の自分」を受け入れる
自己肯定感をはぐくむことが自分の幸せにつながる、と言われることが増えています。ありのままの自分を愛して、自分を大切にする「セルフラブ」についての漫画『フロイトとソーカモ その悩み、猫が答えます』(著・絵:徐慢慢(シュイマンマン)心理話さん)が中国でベストセラーに。ここでは、この本の監修をした、心理カウンセラーの武志紅(ウージーホン)さん流の自己肯定感を高めるコツを紹介します。 【漫画】『フロイトとソーカモ その悩み、猫が答えます』
私たちはなぜ「完璧な自分」でいようとするのか
私たちはつい、自分を厳しく評価しがちです。成功者でさえ、自分の至らなさに焦りを感じることがあります。たとえば、中国で成功を収めたある女性は、国内の長者番付トップである大手企業のCEOに自分の会社の欠点を嘆き話したところ、彼もまた「自分はまだたりない」と本気で語りました。 筆者自身も、多忙な日々の中で少しの「ムダな時間」さえ許せず、自分を責める理由にしていました。しかし、完璧を追求しすぎると心身のバランスが崩れ、結果的に苦しみを生んでしまいます。
成功よりも「体験」を大切に
ここ数年でとくに感じるのは、人生は成功を追い求めるためだけのものではないということ。財産や名声のためではなく、日常を楽しむために私たちは生まれてきたのです。 「たったの1分1秒」もムダにせず努力できないといけない、ということはありません。肩の力を抜いて「なんでもない時間」を楽しむことが幸福感につながります。たとえば、何気ない瞬間に心が癒やされたり、気持ちが軽くなる体験が日常にはたくさん潜んでいます。
「ほどよい母親」のすすめ
「Good enough mother(ほどよい母親)」というのは、精神分析学者ウィニコットが提唱した概念です。すばらしい母親、また完璧な母親を意味する言葉ではありません。 「ほどよい母親」で十分だという考え方は、自己肯定感を高めるヒントになります。「まずは親も普通の人だと知る。次は自分も普通の人だと知る。さらに子どもも普通の人だと知る」ということが、まず人生における大事な知見なのです。 「普通であること」を受け入れ、「いつでも効率よく、完璧である自分」になれないのを、許容する。そうすることで、心が軽くなり、他者への寛容さも生まれます。 ※ この記事は、『フロイトとソーカモ その悩み、猫が答えます』(扶桑社刊)より一部を抜粋し、再編集しています
ESSEonline編集部