身に覚えのない「79万7484円の詐欺・窃盗」の疑いで“自衛官の退職金”が「差止め」? 裁判所が下した「判断」とは
A氏「一切話を聞いてもらえなかった」
また、A氏は、満足な聴取が行われなかったと指摘した。 A氏:「定年退職という、私が弁明することが難しいタイミングを選んで、懲戒処分が行われたと感じている。 一切こちらの話は聞いてもらえず、一方的な資料でもって『これが正しいんだ』と押し付けられた。証拠を見せてほしいと言っても、見せてもらえなかった」 ごく一般的な感覚として、「詐欺罪または窃盗罪の疑い」をかけられるのは、それだけでも強烈な不利益・不名誉と感じられるだろう。 さらに、その結果として、リタイア後・老後の生活の糧として当てにしていた「退職手当」等を受け取れない「不利益処分」が行われれば、その後の人生を大きく左右する可能性がある。 そのような重大な不利益を与える処分を下す前提として、行政庁が行う調査・立証は、どこまでの公正性・厳密性・透明性が求められるべきなのか。 本件は自衛隊内部で起きたことだが、私たち一般人にとっても決して他人事ではない。 A氏・指宿弁護士は、控訴する意向を示している。二審の高裁がどのような判断を下すことになるのか、注目される。
弁護士JP編集部