【臨時国会召集】衆院選の争点を明確に(10月1日)
臨時国会が1日、召集される。すでに「9日解散、15日公示、27日投開票」の衆院選日程が固まった中、首相指名とともに、選挙で何を訴えるのかが重要な場となる。与党、野党第1党のトップが新たな顔ぶれとなっており、争点を国民に分かりやすく提示する姿勢を求めたい。 召集日は自民党の石破茂総裁が首相に指名された後に組閣を行い、新内閣が発足する。4日に衆参両院で新首相の所信表明演説、7日から所信表明演説に対する各党代表質問が想定されている。通常、代表質問は3日間かけるが、3日目の9日には党首討論が検討されているという。 一対一の質疑応答によって首相、閣僚の力量が試されるのが予算委員会だ。緊張感のある一問一答は国民にとってもそれぞれの立ち位置の理解を助けてくれる。野党は予算委員会の実施を求めている。自民党の総裁選中、石破氏は「国民に信を問うなら、国会で判断材料の提供を追求しなければならない」と強調し、含みを持たせていたが実現は難しいようだ。
自民党の派閥裏金事件を踏まえた政治改革や信頼回復の取り組みは、野党にとって予算委員会で論戦を展開したい大きなテーマの一つだった。議論の機会は限られてしまったが、裏金に関わった議員の衆院選立候補が見込まれており、与野党ともに政治資金のあり方を軸とした政治改革に対する明確な方針を示すことが極めて重要だといえる。 野党第1党である立憲民主党の野田佳彦代表は、就任あいさつで「本気で政権を取りに行く覚悟だ」と述べた。衆院選では自民、公明両党の衆院過半数割れを目標に掲げる。であれば、政権の流れを継承する政策、別路線の独自政策を「政権構想」として明示してほしい。野田氏の打ち出す「保守中道」についても具体策を示すべきだ。 自民党と連立与党を組む公明党も石井啓一代表に代わり、30日の党首会談で連立政権樹立の合意文書を交わした。岐路に立つ日本のかじ取り役として、臨時国会でも存在感を発揮してもらいたい。
物価高、人口減少、能登の大雨被害対応など国民生活に直結する課題も山積している。短期間とはいえ、やるべきことに丁寧に対応するのは当然のことだ。(安斎康史)