人生を形づくる「因縁」を掘り下げる面白解説コミック『あの世の社会科見学 人生を左右する呪いの因縁編』【書評】
因縁(いんねん)という言葉を耳にするとどんなイメージを思い浮かべるだろうか? 『あの世の社会科見学 人生を左右する呪いの因縁編』(安斎かなえ:著、流光七奈:協力/竹書房)は、因縁とは何かを詳しく掘り下げた、世にも珍しいコミック作品だ。 【漫画】本編を読む
本書は、あの世が視える人気占い師・流光七奈先生から学ぶ大人気シリーズの第5弾。作中では、短命の家系が背負う「横変死の因縁」、結婚や恋愛でトラブルを引き起こす色情因縁、デジタル社会が生み出した因縁、前世から受け継ぐロマンチックな因縁…など、さまざまな因縁の事例やエピソードが紹介されている。 私たちの人生には、たくさんの出会いや別れがある。人生の節目に出会う重要な人、一瞬の出会いでも後々までずっと心に残る人。偶然のようで実は必然な出会い。新しい始まりにつながる別れ。思い返すと涙が溢れてくるほど悲しい別れ。 因縁は、こういったさまざまな出会いと別れ、関わりや結びつきの中から自然と生まれてくるものだという。目には見えずとも、決して超自然的な力による不可思議なものではない。むしろ、私たちの日常生活や人間関係に深く関わっている、非常に現実的かつ身近なものだといえる。 もしあなたが自分の力が及ばない出来事や状況に苦しんでいるときは、本書を読んで、すべての物事は独立した事象ではなく複数の要因や条件が絡み合って生じるという因縁の概念を思い出してほしい。人生における出会いや選択一つひとつの重要さや人と人との関わりの尊さについてあらためて考える、良い機会となるだろう。 文=ネゴト / 糸野旬