【本格オフローダー対決】ディフェンダー x Gクラス x ラングラー オンとオフの1番は 中編
従来の本格オフローダーと比べれば快適
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース) translation:Kenji Nakajima(中嶋健治) 毎日の暮らしを大きなオフローダーで過ごす、という体験はどんなものなのだろう。自動車通勤や家族での週末旅行、土曜日の買い出し、学校や駅への送り迎え。実際は、おそらくさしたる問題はない。 【写真】ディフェンダー ラングラー Gクラス (135枚) SUVブームの昨今だが、大きなボディのオフローダーは、少し見られ方が違うことも確か。しかしドライバー側の変化は、走る場所や駐車する場所が変わる程度だろう。 ランドローバー・ディフェンダーのボディサイズ、メルセデス・ベンツGクラスのボクシーなフォルム、ジープ・ラングラーの無骨なデザインは、同じくらいの割合で煙たがられるはず。でも3台ともに、愛すべきスタイリングに仕上がっている。 オンロード性能や運転のしやすさは、3台それぞれに長所と短所がある。平均すれば、大きな差にはならない。 車重が最も重いのはGクラス。350dが積むのは3.0Lの直列6気筒ディーゼルターボで、286psを発揮する。低回転域でのトルクが太く、重いトレーラーの牽引では有利だ。 ディフェンダーは2.0Lの4気筒ディーゼルで、240ps。2.2Lのラングラーは200psと一番控えめで、牽引重量は2500kgに制限されている。 どれも、とりわけ速くはないが、遅くもない。運転はしやすく、従来の本格オフローダーと比べれば、はるかに快適。 トランスミッションは滑らかに変速するATだし、ステアリングホイールの重み付けもレシオも、扱いやすい設定。高速走行時の安定性にも優れ、及第点は与えられる機械的な洗練性も得ている。姿勢制御もグリップ力も、充分良いといえる。
オンで頭が1つ抜けているディフェンダー
ラングラーはハードコアなルビコン仕様ということで、ブロックの大きいオフロードタイヤを履いていた。そのため、路上での安定性は2台と比べると劣る。郊外の流れの速い道や高速道路では、左右に5度くらいづつ、常に修正操作が求められる。 Gクラスは、コーナリングでやや不安定。ボディロールが大きく、重いボディが振られてしまう。 ロータリー交差点を急いでターンするときは、フロントタイヤからスキール音が長く出る。普通のクルマでは意に介さないような隆起部分を通過すると、リアアスクルやボディが乱れるように動く場面も時折ある。 ディフェンダーでは、ロータリー交差点でタイヤが鳴くことはほぼない。高速域で左右に振られる、ワンダリングが生じることもない。 乗り心地は穏やかで、落ち着きがある。現代のマイルドな大型SUVと変わらないほど。姿勢制御も良く、ステアリングの操舵感は、リニアで気持ちいいほど正確。 ただし、フロントガラスは直立気味でドアミラーも大きいから、高速域では風切り音が少し目立つ。エアサスペンションと8速ATの動作は、まれに不自然な印象を与えることがある。といっても、目くじらを立てるほどではない。 総じて判断すれば、新しいランドローバー・ディフェンダーは、本格オフローダーの中で1つ頭が抜けている。車内空間や実用性では大きく有利で、オンロードでの洗練性やハンドリングにも優れている。 ランドローバーは、その理由を知っているはず。 続いてオフロードでの評価に移りたい。3台とに主戦場の1つとするフィールド。采配が難しそうだ。