中国、LNG基地の「ダイヤモンド水」で魚の養殖
【東方新報】「この魚は力が強い!プロの道具がないと釣るのは難しいよ!」今網に上がったばかりの金目鯛が、飛び跳ねながら網から養殖箱の中に飛び込んでいく。 広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)の中国海洋石油集団(CNOOC)の広東大鵬(Dapeng)液化天然ガス(LNG)受入れ基地が設けた養魚場で、「冷却エネルギー利用養魚実証プロジェクト」の牛軍鋒(Niu Junfeng)マネージャーは、水中でバタバタと跳ねる魚を指差しながら「LNG基地で海水養殖ができるなんて、誰も想像していなかったでしょう」と言う。 「ここは中国最大のLNG受入基地です。LNGが何千もの家庭に届けられる前に、基地ではLNGと海水の熱交換によって液状のガスを気化しなければなりません。液化されたLNGの温度は、およそマイナス160度です。基地では2023年に800万トン以上の液化天然ガスを処理しました。熱交換の過程で膨大な量の海水の温度が3~5度低下します。その結果、水温は一年中15~25度に保たれます。深センは暑いので、この温度の海水は非常に貴重です。無駄にしてはなりません。それでこの水温に適した魚類の養殖試験を始めたわけです」、牛氏はこのプロジェクトの経緯をこのように説明する。 牛氏はまず深セン市海洋開発局を訪ね、プロジェクトの要旨を説明した。双方はすぐに意気投合し、関係の科学研究組織と連絡を取り、魚の養殖を請け負う農民を募集し、稚魚を選定し日常の運営管理を定めた。基地側は冷水の供給、施設の改造、水質管理に責任を負うことにした。そしていよいよ今年の2月3日、国内で初となるLNGの冷却エネルギーを利用した「海水養魚エリア」正式にスタートした。 深セン市水産業協会養殖分会の曹躍明(Cao Yueming)秘書長の話によると、養魚農家はこれを「ダイヤモンド水」と呼んでいるという。 曹氏は「この冷たい海水は、何度も濾過され、殺菌され、水質は純粋で無菌です。まさに非常に貴重な天然で高品質の養魚用低温海水と言えます。さらに貴重なのは、ここで使用される冷水は、流れがある活きた海水なので、魚が長時間活動できることです。魚がアスレチックジムのランニングマシンで運動しているようなもので、身は引き締まって美味しく、品質が良好です」と語った。 「通常、海水1立方メートルの温度を5度下げるには5.8キロワットのエネルギーが必要ですが、LNG基地の熱交換冷却エネルギーを利用することで、養魚場は年間197万キロワットアワーの電力が節約でき、二酸化炭素排出量を1800トン削減できます。この技術が普及すれば、環境と経済の『二つの収穫』の達成が可能です」、牛氏はとてもうれしそうに、こう話した。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。