駅前飲食店をテレワーク用のシェアオフィスに 静岡・長泉町の試み
静岡県長泉町は、首都圏などへの通勤者むけに既存の飲食店をシェアオフィス化する取り組みを始めました。狙うのは、テレワークの推進と飲食店の支援の両立です。 「三島駅から歩いて5分ほどのこちらの焼き鳥屋。営業は午後5時からだが日中はシェアオフィスとして活用されている」 長泉町下土狩の焼き鳥てっちゃんは、営業時間外の午前9時から午後5時まで、シェアオフィスとして利用できるよう店を開けています。首都圏など県外へ通勤する人が1000人ほどいる長泉町。町内にテレワークで使えるスペースがなかったため、町の産業振興課がシェアオフィスを開設しようと提案しました。 ●長泉町産業振興課 浅倉充主幹 「自宅で小さいお子さんがいたり、部屋の間取りの関係で自宅でリモートワークがしにくい人もいると聞いている。町では、多様な働き方を支援していくという観点から、 今回、シェアオフィスを開設した」 この店は駅から近く1階だけでなく2階にも個室があるなど、テレワークができる環境が整っていたため、町が店に声をかけて先月末にスタート。きょう、初めて利用者が訪れました。 ●長泉町から東京へ通勤する40代男性 「コロナの影響で新幹線通勤ができなくなってしまって、ずっと自宅でリモート会議や仕事をしていたけど、ちょっとつまんなくなってきちゃって、気分転換にいいかなと思って利用させてもらった」 店内ではフリーWi-Fiが使用でき、個室では周囲を気にすることなく、リモート会議をすることができます。 ●長泉町から東京へ通勤する40代男性 「リビングで仕事をしていると、お父さん邪魔っぽい感じを家族からプレッシャーを受けるので、広い空間で仕事をするのは久しぶりでのびのびしていい感じ」 各部屋には、消毒液や空気清浄機を設置して感染症対策を徹底。利用料金は先払いで4時間まで500円、1日の利用は1000円です。コロナ禍で売り上げが落ち込む店には貴重な収益となります。 日中は食べ物や飲み物を頼むことは出来ませんが、午後5時以降に居酒屋として利用してもらうため、シェアオフィスの利用者には、焼き鳥や生ビールの無料券を配っています。 ●焼き鳥てっちゃんを運営 宮川修二社長 「感染対策をブラッシュアップさせたので、そういったことを認知していただいて、また夜にご来店いただけると有難い」 ●長泉町産業振興課 浅倉充主幹 「ちょうどきのう緊急事態宣言が1都3県で発令されて、その中非常にいい取り組みじゃないかという声はいただいている。飲食店は非常に今厳しいと聞いているので、そういった方の新しい可能性が広がればいいと考えている」 厳しい状況が続く飲食店と環境が整ったテレワークのスペースが必要な町民にとって、相互にうれしい取り組みが始まっています。