「ルミネでまた働きたい…」年間3割の店員が入れ替わる現場の挑戦。退職者向けジョブマッチングとは
人材の出入りが激しいファッション小売り業界で、大手ショッピングモール・ルミネ新たな取り組みが注目されている。 【全画像をみる】「ルミネでまた働きたい…」年間3割の店員が入れ替わる現場の挑戦。退職者向けジョブマッチングとは ルミネでは2021年12月から、育児や介護などさまざまな理由でルミネを退職してしまった元スタッフに、スポットで仕事を紹介するジョブマッチング制度「ルミナーズ」の本格運用を開始。現在、“ルミネ退職者”を対象にした説明会などで参加者を募集しており、12月は22件のジョブマッチングが成立した。 「ルミネでは1年で30%のショップスタッフが入れ替わります。一度は離職したスタッフに、また働いてもらえないかと考えた制度です」(ルミネ担当者) ジョブマッチング制度・ルミナーズは、ルミネ内のアパレルショップなどで勤務経験のある人材に登録してもらい、ルミネ内のショップがイベントなど臨時で人出が必要なときに、単日・短時間で仕事を発注できる仕組みになっている。 ルミネのショップにとっては、接客経験のある人材を活用でき、また働く側にとっては、育児や副業などとの両立が可能になるという。 コロナ前までは慢性的に人材不足だったショッピングモールなどの販売業や接客業。一方で販売・接客の担当者は、若年の女性が多い傾向があり、出産や育児などで離職すると復職が難しいという課題もあった。 ルミネが新たに始めた「退職人材」のマッチングは、果たして人手不足の解決や柔軟なキャリア形成の一助となるのか?
長年の店長経験も、出産を機に退職
「私のように出産を経て退職した人にとって、再就職は簡単ではありません。さまざまな理由から、もう一度仕事に就くことに踏み切れない方も多いと思います。キャリアがあっても、それを捨ててしまう人があまりにも多すぎると感じています」 約20年間、ルミネ内のアパレルショップで勤務経験のあるラローサ千穂さん(43)はそう話す。 ラローサさんは「ルミネエスト新宿」でアパレルブランドの店長を長年勤め、全国のルミネのスタッフが争う接客ロールプレイングコンテストでは、上位十数名のみが認定される「ルミネストゴールド」を受賞した先客のプロ人材でもある。 2015年にイタリア人男性と結婚し、2016年には第1子を出産。しかし、子どもの保育園が決まらなかったことから、やむなく退職を決めたという。 「第一線で販売を続けたかったのですが、『終日勤務OK、土日勤務OKで長期休暇は不可』という条件は難しかった。私のように年齢の壁、子どものこともあり、アパレル業を一度離れてしまう人も何人も見てきました」 2018年からはアパレルを離れ、ラグジュアリーブランドに就職。派遣社員として週に5日、時短勤務を続けている。