J2から殴り込み!(2)福岡、目標は「10位以内」!!「J2最強の盾」に課題の2列目を緊急補強!
■日本人GKが勝点を呼び込めるか?
2016年以来のJ1復帰を果たしたアビスパ福岡は、「10位以内」を目標としている。昨シーズンはリーグ最少失点の堅守を強みに、試合を重ねるごとに攻撃力を高めていった。そこからJ1での戦いを探っていくと、堅守の継続は前提条件になるだろう。 【動画】福岡、気温1度――練習場での積雪に大ハシャギの外国人選手たち 守備陣ではGKのジョン・アンデル・セランテスと契約を延長せず、チーム最多タイの41試合に出場したCB上島拓巳が所属元の柏レイソルへ戻った。 上島の不在については、しっかりと手当されている。サガン鳥栖から宮大樹、鹿島アントラーズから奈良竜樹を獲得し、下部組織から森山公弥を昇格させたのだ。 宮は19年の水戸ホーリーホックで、長谷部茂利監督のもとでプレーしている。奈良は16年のリオ五輪アジア最終予選に出場し、ケガさえなければ本大会にも出場できていた。クラブでは北海道コンサドーレ札幌を起点に、川崎フロンターレや鹿島を渡り歩いている。ドウグラス・グローリ(ブラジル)とカルロス・グティエレス(スペイン)を交えて、CBのクオリティと枚数に不足はない。 気になるのはGKだ。4人の日本人選手が争うこのポジションでは、昨季のJ2でセランテス負傷時のファーストチョイスだった村上昌謙、川崎Fと清水エスパルスでJ1出場経験のある杉山力裕の争いになるだろうか。どちらにしても、J2からの昇格チームでは、GKが小さくないウエイトを占める。GKの好守で勝点を拾っていくゲームを作れるかどうかは、チームが目標を達成するための条件にあげられる。
■ストライカーはいる。あとはどうやって決定機を作るか
前線にはJ1とJ2で実績のあるフアンマ・デルガドに加え、セレッソ大阪からブルーノ・メンデスを迎えることができた。昨季のJ1で9ゴールをあげたブラジル人FWは、川崎Fにレンタルバックした遠野大弥の穴を埋めてくれるだろう。 得点源となる存在はいるだけに、決定機の創出がポイントになる。期待を寄せられるのは、ベルギー人MFジョルディ・クルークスだ。27歳のレフティーは右サイドをメインに2列目に適応するが、外国人の新規入国制限でチームに合流できていない。 また、GKと同様にJ1でのプレー経験を持つ2列目の選手が少数なのは気がかりだ。2月15日に加入が発表されたMFカウエは、ブラジルの典型的な第1ボランチだ。大宮アルディージャとアルビレックス新潟に在籍したことのある彼は、ボール奪取を特徴とする。 また、クラブは2月18日に緊急補強を発表した。13年から16年まで在籍し、その後は鹿島アントラーズとサガン鳥栖でプレーしてきた金森健志を獲得したのだ。開幕節の前週の補強は、2列目の人材を手厚くするためと考えられる。 いずれにしても、守備をベースとした戦いでのシーズンインが現実的だ。エミル・サロモンソンのようなリスタートのキッカーと、グローリやフアンマのような長身選手がいるだけに、リスタートを有効活用したい。 就任1年目で福岡をJ1へ導いた長谷部監督は、戦略の幅が広い。昨季は4バックから5バックへ切り替えて逃げ切るといったような、割り切った戦いも見せていた。対戦相手と試合の意味合いに応じて多数の引き出しを用意していくはずで、指揮官のベンチワークも目標達成のキーファクターになる。
戸塚啓