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「新たなヒロイン」大坂なおみの全米OP優勝に沸く日本

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The Guardian

【記者:Justin McCurry】  米ニューヨークで8日に行われた全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)の女子シングルス決勝戦で、日本人初の四大大会(グランドスラム)優勝を果たした大坂なおみ(Naomi Osaka)選手(20)に対し、日本では惜しみない称賛が送られている。  この試合では、カルロス・ラモス(Carlos Ramos)主審に対してセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams)選手(米国)が浴びせた激しい非難の評価をめぐり、テニス界で議論が起こっている。  最後まで冷静さを保ちウィリアムスにストレート勝ちした大坂だが、彼女の歴史的偉業は、主審の性差別の犠牲になったとするセレーナの訴えをめぐる展開でかすんでしまった。  それでも、日本のソーシャルメディアは大坂を祝福するメッセージであふれた。安倍晋三(Shinzo Abe)首相もツイッター(Twitter)への投稿で大坂を祝い、「この困難な時にあって、日本中に、元気と感動をありがとう」と感謝した。この言葉は、ここ数週間で合わせて数百人の犠牲者を出し、日本に広範な被害を及ぼした一連の自然災害に言及したものと思われる。  同じく日本人で、全米オープン男子シングルス準決勝で敗れた錦織圭(Kei Nishikori)選手は、絵文字ばかりの祝福ツイートを送った。  大坂の祖父、鉄夫さんは北海道の自宅で報道陣を前に、夫婦そろってテレビで孫娘の6-2、6-4の勝利を見ていたと述べ、「とにかくうれしい」と語った。  日本のメディアも大坂の勝利にとにかくポジティブに反応し、「日本が誇りにできる新たなヒロイン」と大坂を称賛した。読売新聞(Yomiuri Shimbun)は「コートでの強さと天真爛漫さのギャップが魅力」と書いた。  決勝戦が行われたニューヨークのフラッシング・メドウズ(Flushing Meadows)に集った日本メディアの大部隊は、セレーナの論争をおおかた無視し、代わりに大坂の多文化なルーツについて尋ね、さらにチャンピオンとして最初に食べたいものは何かと質問。それに対し大坂は「カツカレー」と答え、報道陣を沸かせた。  決勝戦を観戦するため早朝から起きていたテニスファンたちは、セレーナと主審の間で起きた衝突に大坂が動じない様子だったことに特に感銘を受けていた。  アマチュア・テニスプレーヤーのある女性は、「あんなことがあったのに、彼女は試合中、ずっと落ち着いていた」「彼女の精神力にとても感銘を受けた。観客全体がセレーナを応援していたようだったが、大坂は試合に集中して勝利した」と語った。  大坂の勝利は新聞やテレビで広く取り上げられている。2年後の五輪開催へ向けて日本が準備を進める中、彼女の努力は巨額のCM契約で報われるだろう。  日本人の母とハイチ人の父をもつ大坂は、大阪市で生まれ、3歳のときに渡米しフロリダ州で育った。  彼女の勝利によって、ある希望が高まっている。それは、彼女の出生国である日本が、日本人のアイデンティティーについてもっと多様性に開かれた定義を採用することだ。今や状況は変わっているにもかかわらず、日本社会は自らを人種的に均質的な社会だとみなしており、異なる人種間に生まれた人々は日常的に「ハーフ」(half、半分)と呼ばれている。  大坂は日本と米国の二重国籍を持ち、異人種間に生まれた日本を代表するスポーツ選手の一人だ。日本では、新生児50人のうち1人が国際結婚のカップルの間に生まれている。例えば米大リーグ(MLB)でプレーする野球選手のダルビッシュ有(Yu Darvish)は父親がイラン人、そして五輪出場歴のある短距離選手、ケンブリッジ飛鳥(Asuka Cambridge)は父親がジャマイカ人だ。  早稲田大学(Waseda University)スポーツ科学学術院の松岡宏高(Hirotaka Matsuoka)教授は、日本人は以前よりも、他の文化からやって来た人々に慣れてきたという。そして、スポーツ選手たちが真剣な気持ちで、自分たちは日本を代表しているんだということをはっきり示せば、世論は彼らを支持するだろうと語った。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。