最終決戦でJ連覇を決めたヴィッセル神戸の三木谷会長が「地力がつきつつある」と評価も素直に喜んでいられない事情とは?
J1リーグ最終節が8日に一斉に行われ、首位のヴィッセル神戸が3-0で湘南ベルマーレに快勝し、史上6チーム目の連覇を達成した。ホームのノエビアスタジアム神戸でMVP候補のMF武藤嘉紀(32)らがゴールで共演した神戸は、逆転を狙った2位のサンフレッチェ広島、3位のFC町田ゼルビアが敗れたなかで、三木谷浩史会長(59)も認めるスタイルで天皇杯との二冠に輝いた。鹿島アントラーズ以来となる3連覇への挑戦権を手にした神戸だが、吉田孝行監督(47)の続投や武藤の引き留めなどの難問を抱えている。 【画像】史上最強のSEXYクイーンら4人の“美ボディ”ラウンドガールが世界戦に登場!
目の前で見た神戸の連覇達成が、よほど気分を高揚させていたのか。三木谷会長は鼻歌まじりで、ノエビアスタジアム神戸の出口に姿を現した。 自力で優勝を決められる状況で迎えた湘南との最終節。前半26分にFW宮代大聖(24)の今シーズン11ゴール目で先制すると、同43分には武藤が自己最多タイの13ゴール目をゲット。後半25分にはMF扇原貴宏(33)が神戸加入後3年目で初めて決めたゴールで共演する試合展開に、三木谷会長は笑顔で及第点を与えた。 「地力がつきつつあるのかな、と。スタイルというものがだんだんと確立されてきましたし、これからはその上にさらにいいものを作っていければと思います」 2022年6月末に3度目の就任を果たした吉田監督が、昨シーズンから標榜してきたスタイルが凝縮されたゴールが、武藤が決めた2点目だった。 自陣のゴール付近から守護神の前川黛也(30)が放ったロングキックに、敵陣の深い位置でFW大迫勇也(34)が相手DFに頭で競り勝つ。前方へ流したボールへ、大迫を信頼してスプリントしていたFW佐々木大樹(25)が反応し、飛び出してきた相手キーパーの眼前で右側へパス。以心伝心で走り込んできた武藤が左足を合わせた。 前川のキックから武藤のゴールまで、要した時間はわずか7秒。昨夏まで所属した元スペイン代表の司令塔アンドレス・イニエスタ(40)を中心に、一時は“バルサ化”という言葉を介して標榜した細かくパスをつなぐスタイルとは、まさに対極に位置する無骨で縦に速いサッカーを同会長はご満悦の表情を浮かべながら認めた。 「現代サッカーのなかでは、インテンシティーがかなり重要になってきている。対戦チームもいろいろな対策を練ってきていますけど、それに対しても首脳陣を中心にいろいろな策を練っている。いいんじゃないかなと思っています」 昨シーズンの開幕を控えたキャンプから、吉田監督はスタイルを180度変えた。突き詰める過程で居場所がなくなったと受け止めたイニエスタが退団しても、己が信じた道を信じ抜いて神戸に初のリーグ戦タイトルをもたらした。 追われる立場となった迎えた今シーズンもまったく変わらない。開幕から5位以内を長くキープ。上位陣につかず離れずの状態から、夏場に入って怒涛の6連勝をマーク。11月に入って首位に立つと、2位の広島、3位の町田を最後まで寄せつけず、3チームが優勝の可能性を残していた最終節で唯一、白星をあげて美酒に酔った。 中盤を省略する形も多いサッカーに対しては、つまらない、といった心ない外野の声が浴びせられるケースも少なくなかった。湘南戦後の公式会見。吉田監督は史上6チーム目の連覇を勝ち取ったスタイルに不退転の決意を込めた。 「周りから何を言われようと、僕たちは僕たちの基準でJリーグを変えてやると思ってきた。この間、クラブを含めて何を言われようが、僕のなかで絶対に基準はぶれなかった。実際に僕のサッカーで勝っているし、それが正解だと思う」