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[寄稿]オーナー拘束は国の危機?サムスン共和国の経営学教授の恥辱感

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ハンギョレ新聞

 検察の捜査審議委員会は、過剰捜査や家族かばい立てなど、検察の起訴独占権を牽制するために作られた制度だ。先週「法曹界、学界、言論界、市民団体、文化・芸術界など社会各分野」(運営指針第4条)から委嘱された委員たちは、サムスンの支配権継承疑惑事件に関してイ・ジェヨン副会長に対する捜査の中止および不起訴を検察に勧告した。  本来この制度は弱者救済策だが、イ副会長は弱者なのか。捜査審議委のヤン・チャンス委員長は、チェ・ジソン元サムスン未来戦略室長と友人であるとして(委員長の職務遂行を)回避すると申し出た。しかし彼は、最高裁判事として2009年にサムスンエバーランド転換社債背任事件に無罪意見を出し、先月にはイ副会長を擁護する新聞コラムを書いた。無罪に同調した別の最高裁判事のキム・ジヒョン氏は、現在裁判所の御用機関であるサムスン遵法監視委員会の委員長だ。ユン・ソクヨル検察総長に直接話ができるというチェ・ジェギョン元民政首席は、サムスンの法務を総括している。法曹界最高の前官プレミアムを享受するというハン・スン元全州地方裁判所長は、イ副会長の弁護チームだ。前官らが集まって次期会長のために弱者保護システムを悪用している。  サムスン物産の株価操作とサムソンバイオロジックスの会計不正事件は、捜査記録だけで20万ページ、起訴状も150ページを超える複雑な事案だ。社会各分野の委員たちが短時間で案件を熟知し、半日で決められる性格ではない。結局、サムスン側の表現どおり、「企業活動に専念し現在の危機状況を克服する機会」を与えようという世論が、委員会の決定の背景と見られる。  大企業のオーナーの拘束は国の経済危機となるのか?その根拠はない。かつての韓火、SK、CJ、泰光はもちろん、前回のイ副会長の拘束期間にも、これらの企業の設備投資、純利益、株価はむしろ上昇した。検察が勧告に従わない場合に生じるという世論の非難は、根拠のない杞憂だ。一方、検察が勧告に従えば、今後重要な企業犯罪被疑者が国民感情を盾にして非専門家の決定に影響力を行使して免罪符を得る道が開かれる。そのような理由から、検察は世論を気にして決断を鈍らせることなく起訴しなければならない。  サムスンは、自他共に認める韓国経済の主役だ。しかし、無理な経営権継承過程の不法は、資本主義国家大韓民国の根幹を崩している。多くの会社役員と専門家が法律違反者になり、企業倫理が破壊された。資本市場の秩序が損なわれ、会計の透明性が悪化した。私は尋ねる。なぜここまでするのか?超エリートであるサムスンの人々は答える。相続税を納めてどうやって経営権を継ぐというんです?  海外の学者たちにはその概念すら理解できない韓国型経営権とは何か。現代の株式会社制度の企業支配構造を無力化し、上場会社を個人金庫、仮病集合所に仕立て上げ、利害関係者と社会に行使する経済権力以上の特殊権力だ。オーナーの地位を前近代的身分に置き換えて君臨するものの、いかなる過ちにも責任を負わない権利だ。会社を公益のための社会的公器ではなく、私益詐取と人格支配の場として活用する権利だ。  資本主義的支配構造は、権限と責任、リスクと報賞の比例を要求する。資本主義的正義とは何か。ナシム・ニコラス・タレブの言葉のように「1%の金持ちも、自身の判断の結果で現在の位置から落ちていき得るリスク」が、今なお残る動的平等(ergodicity)だ。したがって、会社は会長様のものであり“K-経営権”はDNAにより世襲が可能だ、という認識は前近代的で反資本主義的だ。国民が、サムスンはよくやっているのにケチをつけるなという単純論理で正義に目をつむるならば、私たちは身分制社会へと退行する。  経営学を教えながら、学生たちに正しい倫理基準を持って、激しい革新活動により最高の人材になり、企業を掌握し大韓民国を成長させようという希望を語りたい。しかし、2020年サムスン共和国の経営学者は、控えめな会社生活、鋭敏な社内政治、人より早く家臣グループに進入することが現実の成功方程式であることを教えなければならない恥辱感に苦しむ。  経済を守るために大統領は被疑者身分のイ副会長に10回以上会った。経済は経済で、正義は正義だ。一介の委員会の不透明な手続きを悪用し、犯罪容疑者が司法手続を迂回する道が開かれれば、国の規律と資本主義的経済秩序は根本から崩れる。裁判で有罪が確定しても国民の大多数が善処を望めば、そして大統領がその政治的責任を全て負って赦免をすれば、それまでだ。困難であるほど正道を歩かなければならない。 イ・ハンサン高麗大学経営学科教授//ハンギョレ新聞社 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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