次世代戦闘機の実寸大を公開 日本が“空の防衛”強化する理由【WBS】
技術転用で日本経済にもメリット!?
そもそも、なぜ日本には戦闘機が必要なのでしょうか? 日本は島国で外敵から攻め込まれる場合、まず空や海から攻撃を受けることになります。ここで重要になるのが「航空優勢」という状態です。軍事侵攻を受けた場合、味方の海上戦力や陸上戦力などが空から大規模な妨害を受けずに作戦を遂行できる状態のことです。 航空優勢の確保により、海上や陸上での防衛作戦が強化されますが、逆に航空優勢を失えば、そうした作戦は難しくなります。実際ウクライナ戦争ではウクライナ軍は航空優勢を確保できず、ロシアの地上軍に大規模な侵攻を許しました。 日本としては次世代戦闘機で侵攻してくる敵の戦闘機を撃退し、まず航空優勢を確保した上で、海上と陸上の防衛をより強固にする狙いがあります。
また次世代戦闘機の技術は、幅広い産業への波及効果も期待できます。例えば、高出力レーダーは、EV(電気自動車)などへのワイヤレス給電の技術開発につながるほか、より高い軌道から大容量そして高速で通信できる次世代の衛星開発にも役立つとされています。 ほかにもステルス技術に関連する電磁波の解析は、自動運転に必要なより高精度な車体開析レーダーへの転用も期待されています。 さらにボルトを使わずに接着剤などで部材を接合する機体の構造とその軽量化の技術は、軟弱地盤に大きな建物を作ることに生かせるとの見方もあります。 これらがどこまで応用できるのか課題はありますが、次世代戦闘機は日本の防衛だけではなく、経済の面でも大きな意味を持つ可能性があります。 ※ワールドビジネスサテライト