クリスマスは地味になった!? コロナ禍の今年は”昭和なクリスマス”に
平成の30年間は12月23日が祝日だったこともあり、クリスマス商戦で気分が盛り上がったものです。時は流れ、昨年からスタートした令和は、昭和時代と同じく「土日に重ならないかぎり平日が続くクリスマスウィーク」です。昨年の12月、スーパーや100均に行くと、以前よりも「お正月の方に力を入れている」と感じて驚いたことをよく覚えています。 そして今年は、新型コロナウイルス感染再拡大の中、クリスマス物とお正月物が同時期から並んでいる状態。イルミネーションの中止や規模縮小も相まって、一見クリスマス商戦が下火になっている印象もありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
今年のクリスマス商戦は巣ごもり消費狙い
冬に入り、テレビCMを見て気がついたことが2つありました。ひとつはチキンやケーキといったクリスマスの定番商品のCMを目にする機会が例年より少ない印象であること。もうひとつは、そうしたCMで外出を促すような心弾む映像や音楽は控えられ、「家で身近な人と楽しい時間を過ごす」状況を前提とした作りをしていることです。 ケンタッキーフライドチキンが2020年11月27日から放送開始をしたCM「クリスマス予約」は、これまでの華やかさを排除し、新しい生活様式に則った事前予約を促すものでした。 淡々とした雰囲気の広告ということもあり、少々クリスマスが地味になったようにも映りますが、筆者の近所のケンタッキーの受付表では、人気のある曜日や時間帯は早々に予約数に到達し、「受付終了」の文字が貼られていました。 日並びは決して良くない今年のクリスマスですが、定番商品の需要はそう簡単に落ち込まないようです。コロナ禍で大勢での賑やかなパーティーができない状況は、クリスマス商戦に関わる企業にとってマイナス要素にも思えますが、実際は巣ごもり消費を追い風に驚異的な伸び率を見せている商品もあるようです。
ケーキの予約が前年比300%の会社も
クリスマスの定番、ケーキに関しては巣ごもり志向もあって予約数が伸びています。年末年始の外出自粛や忘年会などのイベント中止もあり、その分、例年よりもグレードアップしたケーキを買い求める人や、通販の利用が増えているといいます。 たとえば、ケーキ専門通販サイト「Cake.jp」を運営する株式会社Cake.jpは12月8日、2020年11月末時点でのクリスマスケーキ予約件数が前年比300%になったと発表。遠く離れた街のケーキ店や有名パティシエのケーキがインターネットで気軽に頼めるとあり、「家で過ごすクリスマス」需要のなかで人気を集めています。 老舗洋菓子店の不二家がクリスマスケーキを販売し始めたのが明治43年、1910年のこと。それから110年経った今、戦争や不況など歴史の荒波を何度もくぐり抜け、ケーキは日本のクリスマスに欠かせないアイテムとなりました。 クリスマスならではの華やかで楽しい飾りつけをしたケーキは、コロナ禍で不安が続く日常生活でもホッと一息つける癒しのスイーツです。クリスマス自体が平日であっても、やはりクリスマスケーキは非日常を味わいたい人の気持ちを掴んでいるのでしょう。