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現代サッカーの一大派閥「ラングニック流」。その戦術を徹底分析する

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サッカー名将列伝第14回 ラルフ・ラングニック 革新的な戦術や魅力的なサッカー、無類の勝負強さで、見る者を熱くさせてきた、サッカー界の名将の仕事を紹介する。今回登場するのは、ザルツブルクやライプツィヒをスポーツディレクターの立場で長く強化している、ラルフ・ラングニック。数年前は独特のサッカーと見られた彼の戦術も、今やサッカー界の一大派閥となっている。そのラングニックの戦術とスタイルを解析する。 【写真】メッシ、ロナウドら海外サッカー選手の美しいパートナー17人 ◆ ◆ ◆ <現代サッカーの一大派閥>  2019-20シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)で優勝したバイエルン(ドイツ)は衝撃的だった。プレッシングの苛烈さ、その裏付けとなっているフィジカルの強靭さ、個々のスピードとテクニックは、新時代の到来を思わせた。  ラルフ・ラングニックは、このドイツを中心とした戦術的な流れの源流にいた人物だ。ザルツブルク(オーストリア)、ライプツィヒ(ドイツ)のスポーツディレクターや監督として有名だが、「名将」と呼ぶには監督としての実績が少なすぎる。ただ、その後のサッカーに与えた影響力という点で、ラングニックは無視できない。  ラングニックのサッカーをごく簡単に表現すると、スペインの"ティキ・タカ"に代表されるポゼッションサッカーへのアンチテーゼだ。  ライプツィヒ時代、4-2-2-2のフォーメーションを組んでボールサイドにほぼ全員を終結させ、縦に速い攻め込みとプレッシングでブンデスリーガに一石を投じた。  サイドチェンジを行なわず、バックパスもあまりしない。狭いエリアを強引に縦へボールを運んでいく攻撃は、当然ボールを失いやすい。だが、最初から狭いエリアに人数を集めているため、奪われても即時にプレッシングができる。  縦志向の強い攻撃とハイプレス、つまりボールポゼッションにまったく重きを置いていないプレースタイルである。

ラングニックと直接の関係はないが、リバプール(イングランド)のユルゲン・クロップ監督のサッカーがラングニックの影響を受けているのは明らかだ。クロップはドイツ・シュツットガルトの出身で、同地域は「シュツットガルトスクール」と呼ばれる一種の学派があった。その教義にラングニックは関わっていた。  ボールポゼッションに価値を置かず、速い攻め込みとハイプレスによる高強度サッカーという基本的な考え方は、ラングニックとクロップの共通点だ。  ラングニックと直接関係のある監督は、ユリアン・ナーゲルスマン(現ライプツィヒ)、ロジャー・シュミット(現PSV/オランダ)、トーマス・トゥヘル(現パリ・サンジェルマン/フランス)などがいて、弟子6人がブンデスリーガの指揮官に収まったこともあった。クロップのような間接的な影響を合わせると、かなりの数の"ラングニック派"がいる。 <源流はアリゴ・サッキ>  ラングニックの師匠筋は「法王」とも呼ばれたヘルムート・グロース。グロースは5部のクラブを率いていた監督だったが、マンマーク+リベロが支配的だったドイツサッカーでいち早くゾーンティフェンスを導入していた先進性があった。ラングニックはグロースの戦術理論に感銘を受け、ふたりは戦術分析と研究を進めていった。  そのころにミラン(イタリア)のビデオを繰り返し見て分析していたという。アリゴ・サッキが率いていたミランだ。  1988-89シーズンのチャンピオンズカップ(現CL)を制したミランは衝撃的だった。その度合いは今回のバイエルンの比ではない。バイエルンはパリ・サンジェルマンと決勝で好勝負だったが、ミランはステアウア・ブカレスト(ルーマニア)を4-0で粉砕している。  それは、同じサッカーに見えないほど新旧のコントラストが明確だった試合で、いわゆる「他の惑星から来たチーム」という印象を与えていたものだ。

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