“昔の病気”ではない……「結核」で1500人超死亡、海外からの持ち込みで集団感染も マイコプラズマも流行【#みんなのギモン】
■医師に聞く…集団感染が目立つ背景
小林解説委員 「感染症に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授に聞きました。最近集団感染が目立つ理由として、特に高齢者は体内に結核菌が残っている割合が高いことがあります。結核菌は一度感染すると、基本的には一生その人の体内にい続けると考えた方がいいそうです」 「菌をそのまま抑え込んで発病しないケースも多いですが、年齢を重ねたり、何か病気をして免疫力が下がったりすると、菌が再び増殖を始め、発病するケースがあるといいます」 「もう1つの理由は、アジア圏など外国から持ち込むケースです。比較的結核がまだ多い外国から若い世代が来て、職場や学校などで感染が広がり、そこから高齢者などにうつして集団感染になるケースです」 「海外ではこれまでの薬がなかなか効きづらい耐性菌の割合も高いそうなので、そうなると治療が難しくなるというやっかいな問題になります」
■タンの絡むせき…結核を疑うサインは
桐谷キャスター 「結核というと、せきが出るくらいしか症状が分からないのですが、『結核かも?』というのはどうやって気づいたらいいのでしょうか?」 小林解説委員 「まず松本教授によると、結核菌に感染したとしても約8割~9割の人は発病しないといいます。ただ発病した場合、最初は風邪のような症状ですが、注意していただきたいのは、タンの絡むせき、微熱・体のだるさが2週間以上続いている時です」 「このような症状がある場合には、結核を疑って医療機関を受診するようにしてください。他にも、体重が減ってきた、食欲がない、最近寝汗をよくかく、といった症状が出た場合はサインかもしれません。少しでも不安に思ったら、医療機関に相談してください」
■そもそも発病させないことが大切
鈴江奈々アナウンサー 「結核は昔と違って、抗菌薬による治療はできると思います。予防はどうなのでしょうか?」 小林解説委員 「赤ちゃんや乳幼児には、ハンコ注射のBCG接種が有効ですが、効果は約15年。このワクチンの効果は、大人になるまでに消えてしまいます。結核菌はいわゆる空気感染をするので、有効な予防法はあまりないということです」 「そのため運動や睡眠、たばこを吸わないなどで自身の免疫力を高め、そもそも発病させないことが非常に大切になります」 鈴江アナウンサー 「菌が入っても免疫力があれば発病しない、ということですね」 小林解説委員 「そして、もし発病しても抗菌薬による治療があります。数か月薬を飲み続ける必要がありますが、きちんと飲みきれば治せることも多いので、早期発見が重要になります」