【アメフト】日本代表の実力 QB石井5TDパスでLIXILがBULLSに大勝 X1エリア
アメリカンフットボールのXリーグ「X1エリア」は、11月3日に富士通スタジアム川崎で、LIXILディアーズとBULLSフットボールクラブが対戦し、LIXILがBULLSに大勝した。 【LIXIL vs BULLS】TDパスを決めて、笑みを浮かべるLIXILのQB石井=2020年11月3日、撮影:小座野容斉
LIXILディアーズ○74-14●BULLSフットボールクラブ (2020年11月3日、富士通スタジアム川崎)
LIXILが地力の差を見せて圧勝した。第1クオーター1分、今春の日本代表に選ばれたQB石井僚介からWR南河竜成に43ヤードのタッチダウン(TD)パスが決まって先制。その後も、石井ともう一人のQB大和田昌太郎のパスが、次々に決まってTDを重ねた。 LIXILは後半も攻撃の手を緩めず、10TDを奪って大勝した。 昨年はX2で戦い、今年X1エリアに昇格したBULLSは、前半にエンドゾーン内のスナップミスで2本のセーフティーを喫するなど、反撃体制が整わず。キックオフリターンTDなど2TDを返すにとどまった。
「ニューエアレイド」ディアーズオフェンスが好発進
2010年代を通じて、ディアーズのエースQBとしてチームをけん引した加藤翔平が、オフに引退した。富永一オフェンスコーディネーター(OC)も桜美林大に転出した。「ポスト加藤・富永」のオフェンスがどうなるのか、その疑問にディアーズはきっちり答えを出した。 先発QBの石井は、綺麗な投球フォームから、パスを投げ分けた。アウトサイドのスクリーンパスなどが次々に決まり、レシーバーのランアフターキャッチでロングゲインとなった。石井のパスは18/24で、337ヤード5TD、パサーズレーティング(NFL方式)は156.25。加藤の元で控えを務めてきた大和田も、パス6/7で127ヤード、2TDで、レーティングは満点の158.3。2人合わせて464ヤード7TDとなった。昨年までアサヒ飲料ヘッドコーチとして、「エアレイド」オフェンスを指揮してきた新任の久保崇OCにとっても上々のスタートとなった。 石井は、関西では下位校の神戸学院大出身ながら、QBとしての素材の良さを見込まれて昨年春から台頭。オフには、日本代表に選出され、富士通フロンティアーズの高木翼と2人でジャパンの「攻撃の司令塔」役を担った。富士通、オービック、パナソニック、IBMといった、X1スーパーのレベルの高い選手たちとの練習が、恵まれた能力にさらに磨きをかけた。ディアーズには加入してまだ2年だが、中心選手としての自覚も出てきた。 余暇の時間でも、かって基礎を学んだ「QB道場」(新生剛士さん主宰)に参加し、高校生や大学生の若いQBに、自分が普段気にしていることをアドバイスするなど、フットボール漬けだ。 ディアーズがX1スーパー昇格を目指す以上、米国人QBを擁する他チームと渡り合えるハイスコアオフェンスは必要不可欠だ。好発進となった初戦だが、BULLSは昨年X2だったチームで、力の差があったのは否めない。次戦、チーム力を強化している電通キャタピラーズ戦が、新生ディアーズオフェンスの試金石となりそうだ。 【写真・文/小座野容斉】