フーディーたちが大絶賛! 日本の自然を五感で感じる一皿を作る期待の若手料理人の世界観に迫る
本田:この家はあんまりいじってない? 本岡:電気系統の配線を新しくして、一からキッチンを作ったぐらいです。テーブルなどはヨーロッパのアンティークとか少しいいものを入れました。
本田:やってきたことやルーツとか、そういうものが全部うまい具合につながった。スティーブ・ジョブズが言った言葉に「Connecting the dots(点と点をつなぐ)」というのがあってさ。彼も子供の頃から、いろんなことをやっていた。例えばカリグラフィー。何の役に立つんだみたいな感じだったけど、マッキントッシュを作った時、フォント作成にそのカリグラフィーが役に立った。点としてやってきたことがつながって、今がある。まさにそういう感じだよね。「ビオス」でもシェフを“やらされている”という感覚だったら、お客さんは付かない。とことんやったからお客さんを掴んだ。 本岡:本当に運が良かったとずっと思っています。
本田:コースはどういう感じで考えているの?
本岡:これまで一人で作れる量が限られるので、品数を減らしていましたが、今月から新しいスタッフが入ったので、フィンガーフードを一気に5種類ぐらい増やして、最後に出すミニャルディーズも増やしました。多皿にはあまりしたくないんです。「シェ・イノ」の手島さんがおっしゃっていたんですが、多皿は、食べている時は楽しいけど、一皿の印象が薄くなることがある。もっと食べたいと思った時に、一口で終わっちゃったりするのが寂しい。その通りだと思っていて、このお皿がおいしいと思ったら、食べるのが好きなので2口3口、もう一口食べたいと思っちゃう。なので、オープン当初はポーションをある程度大きくして、皿数を減らしていました。だけど、畑のものを楽しんでいただきたいので、この9月からは、フィンガーフードのような小さくてテンポよく食べられるものを最初に一気に出して、その後の皿数は抑えるというコースになります。 本田:良かったね、シェフが増えて。 本岡:3年前にオープンする時に入る予定だったんですけど、彼に池尻大橋のワインバルでシェフをやらないかという話がきて。そんな機会ないから行っておいでって快く送り出したんです。3年経って、やっぱり一緒に働きたいとなって「KAM」で一緒にやることになりました。すごい力をつけてきて、何でもできるんです。 本田:アシスタントというよりはパートナーという感じ。 本岡:力強いパートナーで、僕の自由度が増えたかなという感じがします。