日韓に“温度差”? 岸田首相が異例の外国訪問から帰国
岸田首相は、選挙期間中にG7とNATO首脳会議に出席するという異例の外国訪問を終えた。首相周辺は口をそろえて「想定していたことを存分に出せた」と成果に胸を張る。なぜそこまで日本の主張が“採用”されたのか。また、韓国大統領との初の直接対話の様子は。舞台裏を解説する。
■日韓首脳、初の直接対話…発表に「温度差」
G7とNATO首脳会議とは別に、今回注目されていたのが、日韓首脳の直接対話だ。出発前に岸田首相は日韓首脳会談について、「予定はない」と述べる一方、首相側近は「立ち話などは拒むものではない」と話していた。その2人が初めて顔を合わせたのはスペイン国王主催の晩餐会だった。 この初の直接対話について、韓国大統領府は即座に以下のように発表した。 「尹大統領は現地時間6月28日、スペイン国王主催晩餐会で日本の岸田総理に会いました。 岸田総理は尹大統領に近づき挨拶をして尹大統領の就任と地方選挙勝利を祝いました。 これに対し、尹大統領は『岸田総理も参議院選挙で良い結果が出るように祈る』として『私と参謀は参議院選挙が終わった後、韓日間懸案を早く解決して未来志向的に進む考えを持っている』と話しました。 岸田総理は『感謝する』としながら『尹大統領が韓日関係のために努力するのを知っている。韓日関係がさらに健康な関係に発展できるように努力しよう』と話しました。この日の対話は3,4分程度続きました。両首脳は29日の韓米日首脳会談などで対話を続けることにしました」 この発表から遅れること数時間。外務省の発表は「尹錫悦韓国大統領との間では、ごく短時間、簡単な挨拶を交わしました。岸田総理からは、非常に厳しい日韓関係を健全な関係に戻すために尽力いただきたい旨述べました」という短いものだった。 韓国側の発表では岸田首相が「努力しよう」と双方の努力を呼び掛けたように書かれているのに対し、日本側の発表では、韓国側の尽力を求めるもので、日本側が“軌道修正”をおこなった形だ。 この発表の「温度差」について、首相周辺は「韓国側の発表のようなことを首相は言っていない。非常に遺憾だ。首相も『あんなことを言っていない』と話している」と不快感を示す。 一方で、ある外務省幹部は「初めて同じ空間に居合わせた二人が挨拶を交わすという当然のことが行われただけだが、その当然のことがスムーズに行われ、安堵している」と、今後の関係改善に期待感を示した。 尹錫悦大統領は、報道陣に岸田首相の印象を聞かれると「我々と岸田首相とで韓日の懸案を解いていき、また両国の未来共同利益のために、両国関係を発展させることができる、そういったパートナーになれると私は確信をする」と答えた。