「腐ったレタスで命をつないだ」加速する貧困に、あしなが育英会が1人20万円の年越し緊急支援金
病気や自死、交通事故、災害などで親を亡くした子どもたちの進学を支援しているあしなが育英会が、コロナ禍での遺児家庭の状況について、会の奨学金を利している高校生、大学生、その保護者ら6250人にインターネットを通じて調査を行った。 【全画像をみる】「腐ったレタスで命をつないだ」加速する貧困に、あしなが育英会が1人20万円の年越し緊急支援金 浮き彫りになったのは、退学を検討し、自死を考えるほどの経済的困窮に陥っている学生や保護者も少なくないことだ。 11月30日、会見を開いたあしなが育英会の玉井義臣会長は「かつてないほど厳しい調査結果になった。これからが正念場。とにかく生きて欲しい」と語り、同席した保護者は政府のGo Toトラベルキャンペーンについて、涙を流しながらその意味を問う場面もあった。
観光支援より食事すら取れない家庭の支援を
あしなが育英会が調査を実施したのは、2020年10月23日から 11月5日にかけて。対象者6250人の内訳は、高校奨学生が1674人、大学奨学生が1690人、保護者が2886人だ。今回の調査は同会で過去最大規模だ。 あしなが育英会では新型コロナの影響で生活が苦しくなった遺児家庭の支援として、2020年5月に遺児ひとりにつき15万円の緊急給付金を支給している。その後も経済は回復せず、遺児家庭から苦しい声が数多く上がったことが、今回の調査につながったという。 主な結果は以下だ。 高校生:3割が「気分が落ち込む」。3割が家庭の変化(食費、光熱費の節約など)を感じている 大学生:4人に1人が「退学を考えた」。2人に1人が「アルバイト収入が減った」 保護者:3人に1人が「収入減少」。9割が将来の収入に不安。半数近くが「気分が沈む」 保護者の多くは非正規雇用だという。会見に出席した女性は涙を流しながら、政府の観光支援策「Go To トラベル」について、 「あしなが育英会の子どもも親も旅行にいく余裕なんてありません。1日1食取れるかどうかの日もあります。旅行に行ける家庭に税金を使うのではなく、本当に困っている家庭を助けて欲しいです」 と訴えた。