「いじめられていたときも、私の気持ちは、いつも“前向き”だった」お笑いコンビ「たんぽぽ」川村エミコさん
お笑いコンビ「たんぽぽ」の川村エミコさんのエッセイ集『わたしもかわいく生まれたかったな』が発売された。40歳を迎えた川村さんの幼少期から大学時代までのエピソードを軸に、ちょっと生きづらそうで、でも、どこかほっこりとした日々が綴られている。
小学生の時、お友達になるために“試験”を受けました(笑)
小さいころは「暗くて静かだった」という川村さんが、いろいろな人と出会い、どんなことも自分の中で楽しんで、前を向いて過ごしてきた時間が書かれている、このエッセイ集。読んでいる私たちも、“こんなこと、あったな”と、ふと昔の自分を振り返り、愛おしく、切ない思い出を呼び覚ます力を持っている。 「最初、書き始めるまでが、すごく大変で、温泉の源泉を探すような気持ちでした。“こっちにあるかな?”と場所を探して、コンコンと掘っていく。そして“あった!”と思ったら、ドバーッとお湯が湧き出て一気に書けたなという感じです。文章にする時は、その時の天気、情景や、周りの人の表情を、読んでいる方に、できるだけ汲み取ってもらえるように、とにかく正直に書こうと思って書きました」 気になる男の子に、変なあだ名をつけられたり、なんとなく周りとなじめなかったり。様々なエピソードが「私もかわいく生まれていたら…」という思いとともに、川村さんのちょっと不思議で、素敵な言葉で描かれている。中でもお気に入りは“お友達試験”だとか。 「ある子に“お友達になってください”と言ったら“お友達になるには試験があります”という、まさかの角度で言葉が飛んできました。びっくりしたんですけど(笑)、その子の考えた試験に、合格するように頑張りました。その当時は、いつもおひとり様でしたが、友達を作ろうとしなかったわけではなかったんです。“お友達試験”は、自分なりに、前向きに頑張ったという最初の記憶です。私が小学生のころからの“舞台に出たい”という夢や、いろいろな出来事に向き合ったとき、そうなりたいなら“とにかく一歩を踏み出そう”と思うようになった始まりだった気がします。とても大事な思い出です」