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わさおの思い出が残る、津軽じょんがら五能線の旅! 【女子鉄ひとりたび】1番線

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元祖鉄道アイドル、今は「鉄旅タレント」として鉄道をアツく語る、木村裕子が日本各地の魅力的な路線を紹介する“女子鉄ひとりたび”。今回は東北屈指の観光路線「JR五能線」をレポート!(『女子鉄ひとりたび』著 木村裕子 より) わさおの思い出が残る、津軽じょんがら五能線の旅! 【女子鉄ひとりたび】1番線 ■わさおが無愛想なのは忠犬だから  五所川原の次に訪れたのは、今回のハイライトである鰺ヶ沢駅。ここに「あの有名人」がいる。  それは、全国的にも有名になったブサカワ犬の「わさお」くん。(ブサカワ=不細工ながらも可愛いさまを示す現代的な表現)。  犬・猫・鶏・うさぎ……など15種類のペットの飼育経験がある私は、無類の動物好きだ。小学生のころ、学校帰りに大量のセミを捕まえて帰り、 「見て! 可愛い子たち!」とランドセルの中を見せ、母をギャッと言わせたことがあったほどだ。  わさおくんは、きくや商店という「焼きイカ」を販売するお店にいる。駅からは少し遠いのでタクシーに乗ると、運転手さんは私が何も言わないうちに「わさおくんでしょ?」と、目的地を言い当てた。  聞くと、映画にも出演したこの有名犬に会いに、この地には全国から連日、大勢のファンが訪れているという。なんだか一流芸能人の楽屋に挨拶へ行く気分になった。  きくや商店に着くと、店主が外に止まったタクシーに気付いて、わざわざお迎えに出向いてくれ驚いた。そして帰るまでたいそう歓待してくれた。突如有名になった観光地のお店は、観光客のマナーの悪さに嫌気がさして、だんだんとお客さんに対して塩対応になってしまうことも少なくない。その塩対応の洗礼を何度か受けてきた私には、このきくや商店はありえないほどのおもてなしだ。  名物の焼きイカを注文。焼き上がるまでにわさおくんに会いに行く。  テレビで見ていた通りのブサカワ全開だが、ペットは個性的な顔であればあるほど可愛さを増す。というか、こんな顔の人、私の周囲にもいたような?  ところが、このわさおくんは案外に人を寄せ付けない気高さがあった。店主とそのご家族にしか心を許していないそうで、客にケガをさせるかもしれないとのこと。もこもこの頭を撫でてみたかったが、2メートル先から熱い視線と愛の言葉を送り続けた。このわさおくんのおうち(犬小屋)は、五能線に面したところにあり、「トレインビュー犬小屋」とでも名づけたくなるような、鉄道ファンが喜びそうな好立地だ。  わさおくんハウスの周辺には、ネコや鳥がたくさんいて、それらを見守るようにどっしりと座り眺める姿は「わさお王国の王様」のようだった。  店内に戻ると、注文した焼きイカが仕上がっていた。店のあちこちにわさおくんの写真やグッズが並べられている。  焼きイカは肉厚で実にジューシー。さらに、ご店主は青森産の甘いりんごをサービスしてくれた。五所川原で諦めたりんごが、まさかここで登場するとは!   店の軒先では、イカを乾燥させるために洗濯物のようにぶら下げて干している。海沿いの街によく似合う、なんともフォトジェニックな光景だ。  帰りのタクシーの運転手さんからは、 「時間があるなら、わさおが拾われた場所へ行ってみない?」との思いがけないご提案。  こういったお誘いには可能な限り応えるのが私のポリシー。反射的に、「ぜひお願いします!」と答えていた。  拾われたという駐車場には案内看板も立ち、ちょっとした観光名所に。わさおくんがいかに町興しに貢献しているか、そしていかに町の人に愛されているのか、改めて実感。タクシーの運転手さんは「わさおさまさま」と手を合わせていた。 (2番線へ続く)

地図製作・戸澤徹

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