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中野量太監督最新作「浅田家!」2日公開 主演の二宮和也に「見事に愛すべきキャラクターに仕上げてくれた」…本紙インタビュー

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スポーツ報知

 映画「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016年)で報知映画賞など主要映画賞を総なめにした中野量太監督(47)の最新作「浅田家!」が2日に公開される。主演の嵐・二宮和也(37)がユニークな家族写真で注目された実在の写真家を演じる感動物語。家族をテーマに映画を撮り続ける中野監督は「家族は最高なんて言わないけど、悪くないよね、くらいは言いたい」と話す。コロナ禍によって家族の絆が見直された今だからこそ、より響く作品だ。(有野 博幸)  「湯を沸かす―」で一躍注目された中野監督だが、「浅田家!」のメガホンを託されたのは、それ以前。自主製作映画を手掛け、一般的には無名だった頃にオファーを受け、「よっぽど監督選びに苦労してたんですかね…」と冗談交じりに振り返る。  プロデューサーの小川真司氏は中野監督に対して「オリジナリティー、家族をテーマにしていること、何より浅田政志と通じる何かを感じた」という。写真集「浅田家」を初めて見た中野監督は「これが家族だと聞いて驚いた。何かしらのドラマがないと、こんな写真は撮らないだろう」と興味を抱き、監督を引き受けた。  特に気を使ったのは、二宮が演じる浅田政志のキャラクターだ。「実在の人物を演じるけど、ものまねをするわけではない。政志はいいかげんなんだけど、どこか憎めない。みんな期待するし、愛される」。キャスティングの時点から「二宮さんしかいない」と期待を込め、何度も話し合いを重ね、人物像を作り上げていった。  二宮は要求をはるかに上回る回答を見せてくれた。「子供が自然と寄ってきたり、二宮さんは人を惹(ひ)き付ける天性の才能を持っている。できると思ってキャスティングしたけど、それ以上だった。一歩間違えると、だらしない人間になってしまうけど、最後まで軸をずらさず、見事に愛すべきキャラクターに仕上げてくれた」  写真集「浅田家」に掲載された消防士、極道、レーサー、選挙、ロックバンドなどは、家族それぞれが「なりたかったこと」を形にしたもの。映画の撮影は、この写真を再現することから始めた。「実際の政志さんが撮影し、ポーズや角度、表情まで写真集を再現した」。3日間で10カット以上を撮影するハードスケジュールだったが、「一緒に苦労を味わうことで、妻夫木聡さん、平田満さん、風吹ジュンさんも打ち解けて、本当の家族のようになれた」  家族をテーマに映画を撮り続けている。中野監督は6歳の時に父を病気で亡くし、母子家庭だったが、明るく笑顔の絶えない家庭で育った。「地元で兄ちゃんが母親の世話をしていて、家族を笑顔にしたいと思っている。そのあたりは政志と同じですね」。家族にこだわるのは「下積み時代にも家族が認めてくれたから、今の僕がある。僕が映画を撮る上で意義を感じるのが家族」と明かした。  この映画でも「親は子供を助けたい、子供は両親を喜ばせたい。僕らと一緒で普通の家族なんだけど、何かいいよね、と思ってもらえたら」と思いを込めた。  映画の後半では、東日本大震災についても描いている。中野監督自身、以前から興味のあるテーマだったが、「震災を娯楽映画で扱っていいものか、葛藤があった。でも、僕がやるなら、絶対に娯楽映画としてやろう、という意地もあった」。浅田政志は震災で泥だらけになった写真を洗って、持ち主に返すボランティアをする。東北に足を運び、経験者に取材した中野監督は「前向きに乗り越えようとする力がすごい。この人たちに映画を見てもらうことも使命」と心に誓った。  コロナ禍によって「誰かと誰かが触れ合ったり、つながっていないと映画はできない」と気づかされた。映画監督として「その人らしさ」を表現することを常に心掛けている。「人間って、その人らしさが見えるとキュンとするんです。そういうところが面白いし、心を奪われる。そこからドラマは生まれる」。登場人物それぞれの“らしさ”が中野作品の魅力だ。  ◆中野 量太(なかの・りょうた)1973年7月27日、京都府出身。47歳。大学卒業後、日本映画学校で映画製作を学ぶ。助監督やテレビディレクターを経て2012年の自主製作映画「チチを撮りに」でベルリン国際映画祭正式招待。16年の商業映画デビュー作「湯を沸かすほどの熱い愛」で第41回報知映画賞の作品賞、主演女優賞(宮沢りえ)、助演女優賞(杉咲花)、新人賞(中野監督)の最多4冠に輝くなど主要映画賞を総なめに。その後も19年の「長いお別れ」など独自の視点と感性を発揮している。  ◆「浅田家!」 消防士、バンドマン、レーサー、極道、ラーメン店など、全力でなりきった姿を収めた写真集「浅田家」は、思わず笑みがこぼれる仲むつまじい家族の光景として好評を博す。この写真集を手掛けた写真家・浅田政志(二宮)を主人公に、彼の人生と彼を支えた家族をユーモアたっぷりに描く。二宮、妻夫木聡(39)、平田満(66)、風吹ジュン(68)、黒木華(30)、菅田将暉(27)のほか、中野組常連の渡辺真起子(52)、篠原ゆき子(39)らも出演している。127分。

報知新聞社

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