「将来の介護が不安」87歳の母親殺害、60代息子に「懲役3年」 認知症の症状なく“良好な親子関係”だったが…思い詰めた理由
裁判長「お母さんのことを思いながら、生涯かけて罪を償って」
判決で裁判長は「親の介護に対する不安は誰もが持ち得るものだが、被告人は境界知能、中等度のうつ病によって心神耗弱状態にあり、犯行の意思決定に対する非難の程度(※)は相当程度低下する」と、検察側の求刑よりも刑期を短くした理由を説明。 ※ 犯罪行為に対する法的非難の程度。量刑を決める際の要素となる 一方で、「同種事件に比べて軽い事案ではなく、刑の執行を猶予することはできない」として、実刑判決を言い渡したと明かした。 さらに裁判長は被告人に対して「まずは服役によって罪と向き合い、早期の社会復帰をすることがあなた自身の更生につながる」と語りかけ、以下のように続けた。 「やったことの重さを刑務所で見つめたら、重要なのはその後の長い人生。無理はいけないが、引きこもるのではなく、支援してくれるまわりの人から助けてもらって社会の中で生活し、お母さんのことを思いながら、生涯かけて罪を償ってほしい」 裁判長の言葉を受けて、被告人は小さな声で「はい」と答えた。
弁護士JP編集部