落合陽一×蜷川実花「『ヘビロテ』や『鬼滅』は自分の得意技に持ち込んだ」【後編】
写真家・映画監督の蜷川実花(にながわ・みか)と、彼女を"スーパー大先輩"と位置付ける落合陽一(おちあい・よういち)。似たところも多いふたりが「"ウソっぽいもの"への興味」や「親の七光と言われること」について語り合った前編記事に続き、後編では「親との類似点」、AKB48や『鬼滅の刃』とのコラボの裏話、そして「写真作家としての危機感」まで自在に話題が広がっていく。 【画像】蜷川実花の最新写真集『東京 TOKYO』 * * * 落合 映画監督になってからは、PVも撮られてますね。AKB48の『ヘビーローテーション』はマジ最高でした。 蜷川 『ヘビーローテーション』がほぼ初PVになるのかな。 落合 「蜷川実花がPV監督した」ということ自体が話題になっていましたよね。 蜷川 あれは秋元康さんに「とにかく好きにやってください」って言われて、私は意外ときまじめだから最初は戸惑ったんだけど、「ほんとに自由にやってください」って背中を押してくれたんです。 「じゃあチューしてもいいですか? 下着でもいいですか?」って聞いたらオッケーだったので、それじゃこうしましょう、と考えて撮ったのがあのPV。 落合 AKB48に「下着になってくれ」って、たぶんミカさん以外は言えなかったですよ。 蜷川 水着にはなってたからさ。面積的にはいっしょぐらいだから、いいじゃんと思ってたんだけど、そこには大きな差があったみたいで(笑)。 落合 ハードルがだいぶ違いますね。町の女の子に「いっしょに海行こう」とは言えますけど「いっしょに下着になってくれ」とは言えないですからね。 蜷川 私の仕事の仕方として、「自分の得意技に持ち込めるときは強引に持ち込む」っていうパターンがあるの。いくつか「蜷川実花らしさ」みたいなカードを持ってるので、負けたくないときにはそれを使うわけ。 『ヘビーローテーション』のときは、調べたらそれまで男性の監督しかいなかったし、相手は女の子だし、得意技に持ち込めそうだと思ってつくりました。 直近だと『鬼滅の刃』とのコラボがこのパターン。『週刊少年ジャンプ』の方から「ポスターをつくりたいんですけど、コラボできませんか」みたいなざっくりしたお話をいただいて。「じゃあ女の子のキャラクターだけでやりましょう」って。 落合 『ヘビロテ』状態になったわけですね。 蜷川 そうそう。女の子に、花に、蝶、だったら負けないだろうって見えてたから。 落合 ミカさんはキャラが強いから、コラボするときはそっちに寄せたほうがハマるんだろうな。映画を撮るようになって、父・幸雄さんの影響を感じることはありますか? 蜷川 すごくある。写真のときは、物理的に、例えば色味が似てくるみたいなことは全然なかったけど、やっぱり映画になると似るね。父親の舞台に似てくる。 音楽のタイミングとか、カタルシスの持っていき方とか、セリフ回しも含めて、「ああ、自分の中にこんなに埋もれてたんだ」って思う。子供の頃からとんでもない量を見てきたから、沁みついてるんだよね、きっと。