少数与党で“薄氷”他党に配慮も“石破カラー”は?“異例”石破総理の所信表明
■丁寧に合意形成…“異例”の演説 衆議院で少数与党となる中、国会審議はどう進むのでしょうか。政治部官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。 (Q.石破総理は所信表明演説で「真摯に」「謙虚に」という言葉を何度も用いたり「他党に丁寧に意見を聞き、幅広い合意形成を図る」と語っていました。石破総理の演説から、どんな印象を持ちましたか) 千々岩森生記者 「永田町ではよく“上から目線”というフレーズが飛び交いますが、29日の石破総理は異例の“下から目線”という印象でした。所信表明演説は普通、『私の内閣はこれをやります』とぶち上げますが、石破総理は冒頭から『野党の意見も聞きます』と宣言。実際、野党の政策である“103万円の壁の引き上げ”を明言しました。現場で聞いていて興味深かったのは、今回野党の議席が増え、議場の半分以上が野党だったにもかかわらず、ヤジはいつもより少なかったです。石破さんはもともと“官邸一強”はよくない、“もっと野党の意見を聞くべき”というスタンスの政治家でした。自身が総理になった今、結果的に野党と協力して合意形成せざるを得ない状況になっています」 今回の臨時国会の焦点となっているのが、今年度の補正予算案です。国民民主党が求める“103万円の壁”。引き上げ幅はこれからですが、与党側は譲歩する代わりに自民・公明・国民で連携して、最優先の補正予算案・成立を目指す構えとなっています。 もう一つの焦点が、政治資金規正法の再改正です。立憲民主党をはじめとする野党が主張する“企業・団体献金の禁止”。これについて自民党は慎重姿勢で、石破総理も所信表明で触れませんでした。 (Q.臨時国会は1カ月足らず。野党協力が必要とされるなかで、石破総理は乗り切っていけるのでしょうか) 千々岩森生記者 「始まったばかりですが、すでに会期は延長が不可避です。臨時国会は通常、10月~12月前半の2カ月ぐらいですが、今回は総選挙があったため、そもそも短い。にもかかわらず、少数与党なので丁寧に時間をかけないといけない。会期の大部分が補正予算案の審議に割かれることになりそうです。もう1つのテーマの“政治とカネ”については、与野党が合意できる『政策活動費の廃止』などは、この国会で決着をつけ、残る『企業・団体献金』は切り分けて、来年に持ち越しとなりそうです。そうなると、来年夏の参院選まで政治とカネの話が続くことになりかねないとみています」
テレビ朝日